2012年度 第8回勉強会

情報バリアフリー

会田和弘氏(認定NPO法人イーパーツ常任理事)


 12月7日(金)、認定NPO法人イーパーツの常任理事でいらっしゃる会田和弘様をお招きし、情報化社会における日本のこれからについてご講義を頂きました。


NPO法人イーパーツ立ち上げの契機


 イーパーツは、非営利組織やボランティア団体、障害者グループの情報化を促進する目的の下、2001年6月14日に設立された。現在の日本において、パソコンを包装している箱がつぶれたり、一度開けてしまったりしたパソコンは廃棄物として扱われる。そうしたパソコンを有効活用し、情報化を進めるべき団体に寄贈してはどうだろうかという考えから始まった活動である。情報機器を寄贈する活動の他に、ネットワークに関する問題解決をしたり、市民活動団体やNPO、企業に対してレクチャー講座を設けたりしている。レクチャー講座では、難しい講義を行うのではなく、双六『せきゅろく』をしながら楽しく情報セキュリティーを学べる工夫が施されている。


寄贈プログラムの現状


 非営利組織は、普段の活動を効率化させるためだけではなく、個人情報を厳重に管理するためにパソコンを必要としている。また、パソコンは消耗品であるため、一度買っても数年で新しくしなければならない。この時、組織にとって問題となるのが購入資金であった。だからこそ、会田氏の考えた、情報機器の有効活用モデルは意味あるものとなったのである。


NPO法人イーパーツが支援する非営利団体


 イーパーツが支援している団体は、社会に必要な活動を行う年間予算500万以下の団体が中心である。その一例として、点訳会(40代から60代の主婦が中心となって活動している点字をつくる非営利団体)が挙げられる。この団体は、各市町村にほぼ一団体は存在しているものの、資金規模は年間30万円程度である。こうした団体に対して、イーパーツは情報発信力の第一歩となる情報ガバナンス支援を行い、ウイルス対策や個人情報の保護などの基礎的な知識を教える講習会を年1回のペースで開催しているのである。


親として、情報化社会から子どもを守る


 アメリカでは小学生にパソコンを一人で使わせないようにすることも多い。情報社会は便利であるが、それに伴って使う人への教育を徹底し安全な使用を促す必要がある。たとえば、スマートフォンのアプリをダウンロードする際には、大抵の場合、個人の電話番号情報が流出している。こうしたリスクに対する知識なしに子供が情報機器を扱うのは危険であろう。時が経つにつれて、情報セキュリティーの理解を深めた親が子供にパソコンの正しい使い方を教えられるようになることが会田氏の望みである。


本当に守らなければならない情報とは


 しかし、個人情報を全く出さない社会は不自然であると会田氏は述べる。現代社会は、むしろ個人情報を出し合って生きていく社会であると言う。2005年に個人情報保護法が制定されたものの、ビジネスの場で当てはまるものがそのもまま一般化されたため、不自然さが残っているのである。今後の日本社会で生きる我々は、本当に守らなければいけない情報が何かを見極めて情報機器と向き合う必要がある。


所感


 講義の後、会田様に教わりながら早速『せきゅろく』をやってみました。普通の双六とは少し違うルールで、とても楽しみながら知識を付けられるものでした!有意義で楽しい時間を、ありがとうございました。


文責:森嶋裕子