今回の定例会では第5回テーマ「観光立国を目指して民泊を考える〜オリンピックの宿泊問題と共に〜」の事前学習を行いました。
国内の特色ある自然、環境、 歴史的遺産、風土、都市、 レジャー施設、食などのさまざまな観光資源を整備して国内外の旅行者数を誘致し、それによる経済効果を基盤として国の経済を支えることを観光立国といいます。2020年に東京オリンピックを控える日本は、観光を重要な成長分野として位置づけ「観光立国化」を進めています。
東京オリンピック開催を控え、更なるインバウンド消費の拡大に向けて、様々な取り組みを行なう一方、外国人観光客の急増による「ホテル不足」が深刻化しています。そこで、ホテルの代替として注目を浴びているのが「民泊」です。民泊に法律上の定義はありませんが、一般に住宅の全部または一部を活用して、 旅行客数等に宿泊サービスを提供することを指します。今回の事前学習では、ホテル不足を解消するための方策や民泊のメリット・デメリットについてのディスカッションを行いました。
ディスカッションテーマ①は、「ホテル不足を解消させる解決策とは」でした。ここでは、班ごとにアイデアを出した後、全体共有を行いました。廃校舎や公共施設の開放、船舶といった既存の施設を活用するアイデアから、地方への観光客分散やナイトライフの推奨、ホステルやカプセルホテルの増設、民泊利用の促進等、様々なアイデアが挙がりました。
ディスカッションテーマ② では、班ごとに観光庁・ホテル業界・訪日外国人・日本人の立場に分かれ、「民泊が普及、身近になることで起こるメリットやデメリット」を話し合いました。利害が異なるそれぞれの立場で意見共有をすることで、民泊が抱える課題や可能性を学ぶことができました。
11月11日に行われる「公開講演会」のテーマでもある、東京オリンピック開催に伴う諸問題について、今回は宿泊施設不足という観点から学ぶことが出来ました。
宿泊施設のキャパシティオーバーを解消するためには、東京や政令指定都市近郊に施設を新設するだけでなく、オリンピック後に増加すると見込まれる観光客を地方にも分散させることも必要だと感じました。また、地方には、農業や漁業の従事者と協力することで体験型の民泊を提供している例もあり、都会との差別化も図れることから、その魅力を最大化することが今後の課題となると思いました。昨年度の春合宿で扱った地方創生のテーマにおいても、地方の観光産業の復興は重要課題として位置付けられていましたが、今後日本が観光立国化を推進していく為には更に地方にも目を向け、新たな観光のかたちをつくっていくことが求められると考えました。
文責:谷本 莉子