6月14日、日吉キャンパスにおいて第3回事前学習が行われました。今回のテーマは「教育のこれから ~子どもたちにとって本当に必要な教育とは~」です。今回は須賀田、土方によるファシリテーション形式で、日本の教育の基礎知識や現状、今後の展望を考察しました。以下はその内容です。
まず、教育基本法の第一条にある教育の目的を確認し、いったい教育とはどんな目的をもって行われるものなのかを再認識しました。そして、詰め込み型教育や画一的なカリキュラムに基づく教育、受動的な教育といったような、現在の日本の教育の代表的な問題点を共有しました。さらに、日本政府が打ち出している教育改革の内容についても触れました。教育改革では、アクティブラーニングや教科・科目の新設、大学入試改革などが大枠として挙げられていることを学び、その後学んだ知識をもとにディスカッションを行いました。ここでは、これまでに出てこなかった問題点であるいじめや不登校問題、教員の過酷な労働環境とそれにともなう教員の研究時間の不足、教員の体罰問題などにも意識を向けることができました。
次に、麹町中学校で実際に行われた改革を参照しました。ここでは宿題の廃止や定期考査の廃止、固定担任制の廃止などのさまざまな改革とその結果について学習しました。その後、上記の例を踏まえて「自分がある小学校の校長になったという設定で、その学校において考えられる問題点の解決策を提案する」というワークショップを行いました。解決策には、給食の廃棄問題を解決するために給食をビュッフェ形式で提供する案や、生徒の学習意欲向上を目的として授業アンケートを実施する案など様々な案があがりました。
現状の教育システムには多くの問題点があり、それに対して政府や学校は改革を行っていることを、例をいくつか参照しながら学びました。さらに、ワークショップを通じて、実際に問題を解決するには、生徒及び教師の視点だけでなく、行政や保護者、地域など様々な視点が必要であるという認識に至りました。また、個々人ごとに問題への着目点が多種多様であり、それだけ多くの問題点が現状の教育システムには残されていることがわかったので、単純な解決策を模索するだけでなく、根本から教育の構造を変えていくという視点も必要であるという結論に至りました。
今回のワークショップでは、グループでの発表後にその場で質疑応答及びディスカッションが行われ、出た意見に対するほかのメンバーのフィードバックがすぐさま行われました。その結果として、メンバー全員が発表の内容についてより深く考えることができたように思われます。今後も意見に対するレスポンスを早めることで、今考えていることをより深く思考するといった習慣づけができれば、メンバー全体の知的好奇心の醸成が期待されると思います。今回は、教職課程を履修しているメンバーもいることから、専門的な立場からの意見を聞くことができる機会も多くありました。多種多様な分野に興味を持った人が集うFRならではの長所が発揮されたと思います。今後も、メンバーの中で特定の分野の知識をもつ人たちが積極的に議論を引っ張ったり、事前学習の中で中心的な役割を果たすようになれば、より実りのある活動が期待できるのではないでしょうか。
文責:田﨑 亮