12月6日、日吉キャンパスにて特別学習企画「共助・公助について考える」を行いました。今回は、リフレクション班ごとに分かれ、第6回テーマの防災に関連して共助と公助に重点を置きながら学びました。
日本の防災理念として、防災対策基本法2条2項2号に基づいた「自助」「共助」「公助」の概念があります。
共助は、周りとの助け合いのことを指す概念で、具体例としては自治会や町内会等における支援が当てはまります。共助は災害を防ぐ用途のみならず、街づくり自体の一環としての役割も担っています。また阪神大震災をきっかけとして、ボランティア等地域組織に限らない新たな主体も登場しています。
公助は、行政機関の防災活動を指す概念で、国や自治体、消防署等の取り組みがあてはまります。例としては、避難訓練や防災マップといった災害前の対応や、緊急食糧の提供など災害時の対応、復興支援等災害後への対応などが挙げられます。
先述の基礎知識を踏まえ、身近にある共助や公助について、各班ごとに考えました。共助の例としては、地域での清掃活動やラジオ体操によって地域のつながりを維持することや、通信業者による災害時のスマートフォン通信制限解除などが挙げられました。また公助の例としては、110番や119番など電話における緊急サービスの要請や、火の用心の声掛け等が挙げられました。
首都圏に暮らす我々が災害のテーマを語る上で、欠かせないのが首都直下型地震です。内閣府によるとこの地震はM7クラスと想定されており、30年以内に起こる確率は70%とされています。さらに、最大死亡者数は2.3万人、被害予想額は約95兆円にものぼると推定されています。首都直下型地震は、発生する確率が高いうえに甚大な被害が見込まれるため、他人事ではない事実が我々に突きつけられているのです。
これらの議論を踏まえ、「もしも、首都直下型地震が発生したらどのような原因でどのような問題が起こるか?」というディスカッションを行いました。サークル員からは、「安全面の問題や、建物等の倒壊によって交通網が麻痺する」「通信網が遮断されたり、テレビ局など発信機関から情報発信が出来なくなるため情報収集が困難になる」「外国人観光客は地震等災害を経験したことがない恐れがあるため、パニックになる可能性がある」等の論点が上がりました。
さらにこれを踏まえて、「首都直下型地震に備えて、共助や公助の面からできることは何か?」という議論を行いました。サークル員からは、「心臓マッサージのやり方を理解しておく」「食料の備蓄を確認しておく」「自治体等が明確なガイドラインを設定する」「避難所の所在地を明確化する」等の対策が上がりました。
板橋区では実際に共助として住民防災組織が作られ、防災マップの作成や避難訓練を行うなど多岐にわたる取り組みが行われています。公助としては、各行政機関により、都市機能の継続性確保、建築物の耐震化推進、火災対応等が事前防災として行われています。また、発生直後や初期対応、それ以降といったように、細かく時間軸を分けて考えることも出来ますが、「公助の限界」と言われるように入念な準備をしているにもかかわらずうまく機能しない場合もあります。
災害大国である日本において、「共助、公助」の言葉自体の認知度は年々上昇傾向にあるものの、実際の取り組みに対してまだまだ課題が山積みであるのが現状です。いざ災害が発生し、不測の事態に陥ってしまった場合に、最良の選択と行動を行うためには常日頃からの対策が必要不可欠です。公的機関の助けに頼るだけではなく、地域間での助け合いを活性化させることが、災害時のスムーズな救助活動、ひいては社会全体の円滑なコミュニティ形成を促すためにも要になると思いました。
文責:小林 優郁