未来の職業について具体的・論理的に考えることは、これからの日本で何が起こるのかを考えることに繋がります。具体的には、人口減少・少子高齢化・人工知能の発達・情報化の進行などが予想される中、どのような職業が生まれるかを考えました。
まず、理解を深めるため、過去50年間で新たに生まれた職業についての例示が行われました。この50年間で生まれた職業として、メディアの発達を背景とするYouTuberやブロガーといった職業が挙げられました。
次に、5〜8人程度のグループに分かれ、今後50年間に生まれる職業について考えました。
各班で、様々な未来予想が行われました。ロボット産業の発達について予想する班が多く見られました。加えて、未来では少子高齢化に伴い、高齢者対象ビジネスが発達することや、情報化に伴う人間関係の変化や環境問題を解決するためのビジネスなど、様々な未来展望がなされました。中には、現在では考えられないような大胆な発想もありました。以下に各班の発表内容の概要を掲載しておきます。
『第2の人生プランナー』
この職業は、核家族化の進行や高齢化、医学の進歩を背景として生まれる。第2の人生の相談や食事面でサポートを行う。この職業により、豊かで健康的な老後を送り、最期を迎えることができる。
『コミュニティ販売人』
この職業は、情報化の進行と人間関係の希薄化を背景として生まれる。「コミュニティ販売」とはコミュニティを商品として保有し、消費者のニーズに合わせ的確なコミュニティを紹介するサービスである。この職業により、希薄な人間関係によって失われたコミュニケーションの機会を取り戻すことができる。
『ゴミの商品化』
この職業は、ゴミの増加を背景として生まれる。世界には膨大な量のゴミが存在している。処分することのできないゴミを商品化し、貧しい暮らしをする人々に安価な価格で販売する。この職業により、ゴミが商品として有効活用され、ゴミが減少する。
『ロボットコロシアム』
この職業は、ロボット技術の進歩を背景として生まれる。具体的には、ロボット同士を戦わせて、勝敗を決め、この観戦サービスを消費者に提供する。この「ロボットコロシアム」を通じて、人々の娯楽を満たすことができる。
『有機植物販売人』
この職業は、長寿命化に伴う健康志向の高まりを背景として生まれる。アプリケーションでオーガニック食材を栽培する農家と消費者をつなぐ。この職業により、健康意識の改善や食料自給率の上昇が見込まれる。
『ロボット家族』
この職業は、SNSの発展や高齢化に伴う核家族化を背景として生まれる。寂しさを感じる消費者のニーズに合わせ、性格を自由に設定できるロボットを提供する。この職業により、人間関係の希薄化を防ぐことができる。
『終末プランナー』
この職業は、少子高齢化・終活の流行・医療の発達を背景として生まれる。顧客一人ひとりに合わせた終末旅行をプランし、提供する。この職業により、人々は老後を楽しむことができる。
『安楽死サービス』
この職業は、高齢化社会に伴う死に対する考えの多様化を背景とする。安楽死を望む人に対して、人生の最後にしたいことを聞き、実現する。この職業により、医療費などの削減が見込まれる。
各班はグループワークを行った後、2分間程度の即席プレゼンテーションを行いました。そして、そのプレゼンテーションを論理性(発表の論理展開は適切か・職業が生まれる理由は論理的か)、有効性 (50年後の社会状況を適切に捉えているか・その職業が社会的に与えるインパクトの大きさ)、プレゼン力(発表態度・聴衆を惹き込めているか)という観点から各班を相互に評価しました。
現在の日本において解決するべき課題は山積みです。しかし、「難あるところに好機あり」と言われるように、困難に直面したときこそ技術や人々の意識は生まれ変わるものであると思います。まずは、少子高齢化・経済・環境・自然災害といった一つ一つの問題に対して、逃避することなく真摯に向き合うことが大切です。今回の学習企画では、未来の職業を予測するという手段を用いて、以上のような大切な点を改めて実感することができたのではないでしょうか。そして、このことはFront Runnerというサークルの根本を成す部分であり、活動意義の再確認にもなったと思います。
文責 平野天