2012年度 第6回リフレクション

情報バリアフリー


 今回の定例会では、前々週のCase Studyや、前週の認定NPO法人イーパーツ常務理事・事務局長である会田和弘氏による講義を通じて学んできた「情報バリアフリー」についてディベートを実施しました。今までのディベート同様に、6班に分かれ、各ディベートに2名ずつのジャッジをつけて勝敗の判定を行いました。

ディベート


「政府は全国の小学生一人につき一台の教育用タブレット端末を配布するべきか否か」                      

 

 近年の情報技術の進歩は目を見張るものですが、その進歩を活用し切れていない分野もたくさんあるのが現状です。その一つとして、今回取り上げたのが「教育」です。情報の授業などでパソコンの活用が進められていますが、それを更に一歩進めてみるとどうなるか、ということについて皆で検討し、ディベートを行いました。

 

各ディベートであげられた立論を記します。

肯定側

・教育格差の是正…(文科省による推進、韓国での実績)

・ICT(情報通信技術)による教育の学習効果の高さ…(わかりやすくなったという声、成績向上の実績あり)

・教師の業務効率化…(出欠や小テストの手間を省ける)

・平等な教育の実現…(地方や離島と都市の教材の格差是正)

 

否定側

・一人当たり一台タブレットを保有する必要はない

・実現可能性が低い

・多大な購入費用…(概算して3000億)

・集中力の妨げ…(他の教材やアプリで遊ぶ可能性)

・地域間、家庭間での教育格差拡大…(通信環境の整備状況など)

 

これらの立論に対し、各班はさまざまな自分たちが調べてきたデータをもとに反駁を行っていました。


総括


 ディベートの終了後に、審判から挙げられた各班の振り返り、今後に活かすべき点を以下にまとめました。  

 

・第二反駁以降で、データを用いる反駁をすることは大変難しいが、データがなければ説得性に欠ける。

…立論や反駁における論理の組み立ても大切だが、それを裏付けて正当性を持たせるのがデータなので、データ集めも疎かにしてはならない。

 

・審判に説明する姿勢。「ICT教育」というキーワードについて審判がわからないまま議論が進行した。また、審判を納得させようという意識が足りなかった。

…ディベートの目的は審判を納得させ自説の正当性を認めさせること。単なるゲームではなく、「人を納得させるために「分かりやすく」「根拠を示した」「相手に伝わる」話し方の訓練であるということも意識すべきである。

 

・立論への反駁が少ない。また、全体を見ずに事の一部への反駁や、反駁への反駁が多かった。

…ディベートでの勝利のためには、相手の「立論」を否定する必要がある。自説に反論されたら反論し返したくなるが、そこは堪えて冷静に相手の立論への反駁を行うべき。そのためには、事前に相手がどんな立論をしてくるか想定し、反駁のための具体例を綿密に用意しておく必要がある。

 

・時間の有効活用ができていない。無言の時間などが多かった

…立論で時間が余ったら反復する、質疑だったらもっと掘り下げた質問をするなどの工夫がまだ少ない。インターバルでの相談なども、情報共有や助言を更に密に行う余地は十分あるように思えた。

 

以上のようなフィードバックがありました。

 

 これからの社会で、情報技術は、さらに進歩し一層人々の生活に欠かせないものとなってゆくでしょう。それらをどう活かし、どう付き合っていくのかということは日本のこれからを大きく左右する重要な課題と言えます。ただ先端だけが進歩するだけでなく、すべての人がその恩恵に与れることが理想の姿です。将来を担う子どもたちへの教育や、日々加速していくビジネスの現場、地域社会で活躍している方々への援助など、今以上に情報技術を活かせる現場はたくさんあるのではないでしょうか。


 今回をもって、年内のディベートは終了です。秋学期から編成された班ごとに活動を進めてきましたが、この班での活動も今回が最後となりました。ディベート準備の立論作成などで一緒に頑張ってきたみんなも名残惜しそうな雰囲気でしたが、これまで仲間とともに切磋琢磨した経験を、次の大きなイベントである春合宿での活動にも活かせることでしょう。


文責:栗田雄揮