2月9日から11日までの3日間、国立オリンピック記念青少年総合センターにて2015年度春合宿を行いました。普段の定例会の集大成として位置づけられる春合宿では、今年度はテーマを「一億総活躍社会」と設定し、講師の方をお呼びしての勉強会やディベートを通して、50年後も人口一億を維持し、誰もが生きがいを持って暮らせる社会のあり方について考えました。
春合宿初日の朝には、グループA(希望を生み出す強い経済~GDPを戦後最大600兆円へ~)の事前学習を行いました。詳しくはこちら。
その後、博報堂ショッパーリテールマーケティング局の勝又多喜子氏をお招きしグループAの勉強会を行いました。詳しくはこちら。
昼食休憩後、1つ目の学習企画「伝達ゲーム」を行いました。詳細を以下に掲載します。
伝達ゲームとは、2人組を作って前後に着席し、後ろに座った者が配布された絵を見てその詳細を前に座った者に説明し、それをもとに前に座った者が再現画を描くというものです。ただし、再現画を描く人は後ろを振り返ってはいけません。また、絵の説明はジェスチャーなど身体動作を使ってはならず、口頭のみで行います。これは、制限時間内に相手が発する言葉だけを頼りに、2人で絵を完成させるというワークショップで、実際に宇宙飛行士の閉鎖環境訓練の一環として行われています。伝達ゲームにおいては、相手への分かりやすい説明が非常に重要になります。限られた時間に加え、表情や動作をシャットアウトされた環境の中で分かりやすい説明をするには、言葉を意識的に使うということが必要です。そのことにより、複雑な絵でも2人で力を合わせて正確に再現することが可能になります。また、再現度の高い絵を完成させるためには、双方向のコミュニケーションによって、前提がしっかりと両者に共有されていることが欠かせません。コミュニケーションの前提がお互いに揃えられていないと、どれほど言葉を尽くしたとしても、双方の理解に行き違いが生じ、情報の伝達がうまくいかなくなるからです。 きちんと相手に自分の言いたいことを理解してもらうためには、自分自身が意識的に言葉を選び、発言していくことが重要になります。今回の企画では、そのことを実感することができました。
文責 日後 麻衣子
休憩を挟み、2つ目の学習企画「ストレスチェック」が行われました。以下に詳細を掲載します。
「大学生と短大生のストレス得点」という表を使い、春合宿参加者が感じているストレスの平均を出しました。この学習企画のゴールは「ストレスに対する見方が変わる」ことと、「ストレスの存在を認知し、共存する」ことです。 まず、「ストレス」の定義とは何でしょうか。ストレスのない状態とは、変化や刺激が何もない状態を指します。逆に言えば、ストレスがある状態とは、変化や刺激がある状態を指すと言えます。苦しいことだけではなく、楽しいことでも、自分に変化や刺激を与えるのであればストレスといえます。「ストレスに対する見方が変わる」とは、ストレスを否定的に捉えるのではなく、自分自身に変化や刺激を与えるものとして肯定的に捉えることを意味しています。また、「ストレスの存在を認知し、共存する」とは、ストレスの捉え方を理解し、人生が良い方向に進んでいくよう、一人ひとりが戦略を持って、ストレスを上手く活用することを示しています。 ストレスというと、悪いイメージばかりを連想してしまいます。しかし、自分自身に変化や刺激を与えるものであれば、嬉しいことや楽しいことでも全てストレスなのです。周りを見渡せば、自分の先入観が邪魔をして、物事の本質を見ることが出来ていないことが多々あります。日常生活においても、先入観を持たずに、物事を見る習慣を身につけたいと思います。
文責 氏江優希子
夕食休憩後、グループB(希望を生み出す強い経済~GDPを戦後最大600兆円へ~)の事前学習を行いました。詳しくはこちら。
その後、元南房総市企画部長の加藤文男氏をお招きしグループBの勉強会を行いました。詳しくはこちら。
2日目の朝には、グループC(夢を紡ぐ子育て支援~希望出生率1.8~)の事前学習を行いました。詳しい内容はこちら。
その後、NPO法人ファザーリングジャパン理事・株式会社ソラーレ代表の東浩司氏をお招きし、グループCの勉強会を行いました。詳しい内容はこちら。
昼食後、グループBのリフレクションを行いました。「訪日外国人旅行者の消費額3兆円、観光関連雇用8万人を創出するために国はどのような施策をとるべきか」という論題に沿って、池田班と南部班によるディベートが繰り広げられました。詳しい内容はこちら。
休憩を10分挟み、グループD(安心につながる社会保障~介護離職者0~)の事前学習を行いました。詳しい内容はこちら。
その後、株式会社マイスター60常務取締役の高平ゆかり氏をお招きし、グループDの勉強会を行いました。詳しい内容はこちら。
夕食休憩後、18時からはグループAのリフレクションを行いました。「農林水産業分野で市場10兆円、就業者5万人を創出するために国はどのような施策をとるべきか」という論題に沿って、中井班と宮田班によるディベートが繰り広げられました。詳しい内容はこちら。
次に、グループDのリフレクションを行いました。「60-64歳の高齢者就業率63%を実現するために、国はどのような施策をとるべきか」という論題に沿って、内藤班と三戸班によるディベートが繰り広げられました。詳しい内容はこちら。
二日目の最後には、グループCのリフレクションを行いました。「希望出生率1.8を実現するために、国はどのような施策をとるべきか」という論題に沿って、大嶋班と齋藤班によるディベートが繰り広げられました。詳しい内容はこちら。
最終日の朝には、3つ目の学習企画「即興ディベート」を行いました。通常のディベートでは、予め与えられた論題に対して立論・反駁を行いますが、即興ディベートではその場で与えられた論題に対して立論・反駁を即興で行います。まず初めに、二人一組となり「一番いいカフェはスタバである」という論題について、ディベートを行いました。参加者からは、「途切れることなく話を続けることは難しい」、「個人の経験に基づいた意見は主観的になりがちである」などの意見が聞かれました。
次に、具体性・一貫性・雑談力という3つの評価基準のもと、1チーム7-8人で肯定側・否定側に分かれ「大学でも体育祭をするべきである」という論題についてディベートを行いました。参加者からは、「立論の前提を作ることの大切さと、自分の意志に反して反駁することの難しさを感じた」という意見が多く聞かれました。この企画を通じ、参加者は、ディベートが自らの知識を整理する有効な手段の一つであることを改めて認識すると同時に、自らの意見を即興で相手に伝えることの楽しさや大切さを学ぶことができたと思います。
その後、2年生の追い出し企画が行われました。今回の春合宿を最後にサークルの主要な活動から引退する2年生に、1年生からメッセージ動画とプレゼントが贈られました。そして、一緒に楽しい時間を過ごしたいとの思いからフルーツバスケットが行われました。
昼食後、1年生による春合宿のまとめと振り返りが行われました。その後、7チームに分かれコンペティションを行いました。「地方の魅力を発信する」というテーマの下、旭川(北海道)・白河(福島)・湖北(滋賀)・青森・鹿児島・沖縄・新居浜(愛媛)の出身者7名を主体として各班4名のチームとなり、合計7チームで担当地域の魅力を発信する方法を考えました。以下、各チームの発表内容です。
旭川(北海道)「北国なのにホットだぜ!あつあつラブラブプラン」
昨今ペアルック商品などのカップル市場が拡大している。旭川にはキラーコンテンツ(圧倒的魅力を誇る観光地)は存在しないが、旭川動物園や周辺にスキー場が多いという特徴を持っている。これらの特徴を活かし、カップル向けのツアーを企画する。
白河(福島県)「福島に村を作ろうプロジェクト」
一般人を募集して少人数で自給自足できる村を作り、地元の人と参加者のつながりや、彼らが協力して自給自足をする姿を番組にする。そのことによって福島の魅力を発信する。
湖北(滋賀県)「琵琶湖水泳大会」
滋賀県の中でも琵琶湖の魅力が一番感じられる湖北地域。波もなく安全で、環境の整った琵琶湖での水泳大会を観光ツアーの中に組み込む。
青森県「聞いてミソ!食べてミソ!」
味噌カレー牛乳ラーメンなど地元の人しか知らない味噌を使ったB級グルメのイメージソングを制作し、SNSの力を使って配信する。
鹿児島県「福岡だけが九州じゃない~福岡の客を鹿児島に~」
九州への観光客が福岡で止まってしまうことや九州新幹線の知名度の低さに注目。九州新幹線のPR活動や福岡の空港や駅に観光コンシェルジュを置くことによって、福岡の観光客の足を鹿児島に向ける。
沖縄県「沖縄別墓政策」
平和をかけて戦う琉神マブヤーなど沖縄には人間関係を大切にする精神や清明祭と呼ばれる家族による大自然に囲まれたお墓参りがある。近年人間関係が希薄化する中、平和を愛する精神に触れ沖縄にお墓を作り、移住してもらう。
新居浜(愛媛県)「日本のブータン新居浜」
新居浜市は日本有数の黒字都市である。お金に富んでいるということは、手厚く優しい子育て支援が受けられる。また、田舎と都市の調和が取れており、ずっと幸せに過ごすことのできる都市であるので、移住先としてアピールする。
今回の春合宿においてはアベノミクス第二弾「一億総活躍社会」の実現に向けて、農林水産業・観光・子育て・高齢者の就業に焦点を当てました。日本の構造的問題である少子高齢化とそれに伴う人口減少の中、50年後も一億人を維持し、一人ひとりが活躍していくためにはどうしたら良いのか。春合宿の準備期間を含めて約2か月の間、分野ごとに真正面からその実現に取り組むことで、サークル員一人ひとりがFront Runnerの主眼である「日本のこれから」について深慮することができたのではないでしょうか。たった3日間ではありましたが、各人が新しい学びと経験をすることができた内容の濃い春合宿でした。
文責 宮寺ひとみ