9月16日から18日までの3日間、熱海の伊豆山研修センターで夏合宿が行われました。
熱海駅に集合し、皆でタクシーに乗り込みました。タクシーで研修センターについたあと、早速各メンバーが事前に用意していた個人課題をもとに分野別コンペを行いました。
今年の合宿のテーマは
「2020年の日本のあるべき姿」
ということで、メンバーはそれぞれの担当分野ごとに「2020年の日本のあるべき姿」を実現するための政策を準備して合宿に臨みました。合宿1日目では同じ分野のメンバーが集まってそれぞれの考えた政策を発表し、投票により以下の7人の政策がそれぞれの分野で最も優れたものとして選ばれました。
農林水産分野【三戸彩歌さん】
政策名:華胃国、日本へ
日本の和食、特に郷土料理に着眼し、海外にPRしていく政策。伊勢神宮の内宮門前町「おはらい町」に立地している「おかげ横丁」に倣い、各地域の郷土料理、伝統料理を中心に海外へ"日本"をPRする。日本の定番観光地域だけでなくより多様な地域に目を向けさせ、それぞれの地域で市場が拡大される「華胃国、日本」を目指す。
経済・財政【大島有紗さん】
政策名:MIJポイント制度Project〜マイナンバー制度の活用〜
税控除を誘引とした地方活性化政策。Made In Japan(MIJ)の製品を購入した人は、購入したものの金額を申告するとマイナンバー制度を通じて自分のマイナンバーカードにMIJポイントが溜まる。そのMIJポイントを一定額貯めると、税金をためたポイント分免除できる。
社会保障【中村拓哉さん】
政策名:ビッグデータを活用した高齢者の健康管理
ビッグデータを活用して高齢者の健康管理を推進する政策。65歳以上の高齢者にICチップ内蔵のカードを付与し、商業施設や病院利用時に購買記録や利用記録、血圧などの健康記録を家族や地方自治体、医療機関へ送信する。家族による高齢者の生活の把握、孤独死予防、ケアマネや民生委員派遣回数の縮小による経費の削減が期待できる。
外交・防衛【小松正史さん】
政策名:2020年常任理事国ニッポン
ノルウェーの中東和平調停(オスロ合意)に倣った、"おもてなし"を活かした平和創造活動(ピースメイキング)政策。紛争関係国の調停会議を日本で開催し、和を重んじるおもてなしに触れてもらうことで穏やかな雰囲気で会議を行う。友好国頼みの間接的な意思決定への依存を脱却し、外交的に存在感を示すことを目指す。
国土交通【宮村黛さん】
政策名:「全日本高速鉄道」設立計画
日本の優れた新幹線を海外に輸出する政策。日本の高速鉄道の輸出低迷を解決するために、「全日鉄」(全日本高速鉄道)を設立して日本の新幹線に関わる産業をまとめ、トータルシステム輸出で日本の新幹線を世界中に敷く。
環境【寺本麻鈴さん】
政策名:日本届国(カイコク)
国を上げてJapan International Energy Weekを開催する。シンガポールのSingapore International Water Weekに倣い、エネルギーにフォーカスしたエキスポを国が開催することで原子力プラント・省エネ・代替エネルギー等の日本の得意とする分野を世界にアピールする。
科学技術・教育【宮澤瞳さん】
政策名:英語教育の徹底による開国プロジェクト
韓国の英語教育に倣い、学校と自治体が連携して英語教育を強化する。自治体ごとに英会話を学ぶことが出来る「イングリッシュセンター」を設け、放課後や長期休暇期間に学校で無料の英語の特別授業を開講。また学校で英語のミュージカルや英語の暗記大会などを積極的に開催することによって「英語を話せる日本人」を生み出す。
この他にも各メンバーがそれぞれ考えてきた政策はどれも独創的で、日本に新しい時代が来ることを予感させました。
コンペが終わったあとは皆でBBQを行いました。肉の焼ける音と笑い声が絶えない楽しいひとときで、メンバー同志は今日の頑張りを労いながら食事を楽しみました。
BBQを楽しんだあと、お風呂に入り、そして飲み会が始まりました。一日目を締めくくりながら明日の本番に向けて皆息抜きをして親睦を深め合いました。
2日目は国家ビジョンコンペティションを行いました。
各分野で岐路とされる2020年においての「日本のあるべき姿」(国家Vision)とそれを実現するための政策について、班に分かれてプレゼン形式で発表しました。
10時から14時という限られた時間の中で政策を決定しプレゼンテーションの準備を進めるのは大変な作業でしたが、限られた時間を有効に使おうとどの班でも白熱した議論が交わされていました。
各班の発表は、以下のような非常にバラエティゆたかな内容となりました。
【中山班】
国家Vision:思いつながる社会
政策:ICTを最大限利用した高齢者見守りシステム「つながるん」
2020年には27,8%にもなる高齢化率を問題意識として、高齢者の生活を想い、見守る必要性を強調。人感センサー付健康診断機械「つながるん」を高齢者宅に設置するよう地方自治体に促すことで、高齢者、家族、病院がこまめに連絡をとることのできる社会を目指す。
【田中班】
国家Vision:育てているのは希望です。―U30 Revolution―
政策:日本若者改造計画(職業訓練学校でスペシャリスト育成)
少子高齢化により進行していくと予想される労働人口減少への対応策として、日本の教育・就労支援制度の大規模な改造を提案した。具体的には高校を順次廃止し、児童は中学を卒業し次第専門学校へ通い、各々の専門的な知識を若いうちから学ぶことができるというシステム。専門性のある高度人材の創出、即戦力のある人材の輩出で労働力不足から生じる問題の打開を目指す。
【寺本班】
国家Vision:ニッポンカイコク
政策:「全日本高速鉄道」設立計画
2020年までに現在のリソースを改良することでさらなる日本の発展を目指す。その方法として、「全日本高速鉄道」(ANR)を設立し新幹線を世界中に輸出する政策を提案。現在鉄道車両の世界シェア約6割を占める「BIG3」(Bombardier、Siemens、Alstom)の販売形態である「トータルシステム輸出」(設計・調達・建設に加えて運営・保守を含めたトータルシステムを提供する方法)を採用することで、新幹線輸出の拡大とそれに伴うビジネスチャンスの獲得を目指す。
【三浦班】
国家Vision:誰もが自分の幸せを実現できる国、日本
政策:MIJポイント制度
MIJポイント制度とは、Made in
Japan(略してMIJ)の製品を購入した人は、マイナンバー制度を通じて、自分のマイナンバーカードにMIJポイントがたまるというシステム。MIJポイントを一定額ためると、税金がポイント分免除される。これにより国民には税免除の恩恵を受けられ、中小企業の売り上げは増加し、国(財務省)は地方中小企業の経営好転による法人税の税収増加が見込まれる。
【中杉班】
国家Vision:世界のFront Runner
政策:NEOLD INFRASTRUCTURE PROJECT
2020年の東京オリンピックを前に、技術大国日本としての威信を取り戻すことをVisionとして掲げる。具体的にはスマートグリッドを導入することで必要な電気量だけを必要な場所に送ることで、電力のロスを最小限にする政策。この効果を高めるために、送電線網の超伝導と道路・橋の老朽化対策をあわせて行う。これによりエネルギー費削減と効率的な空間活用を目指す。
【小松班】
国家Vision:ニッポン“サイコウ”
政策:国際休戦サミットGCFAS
世界各国の注目が日本に集まる年となるであろう2020年。平和大国である日本で平和の祭典オリンピックが行われるこの機会に、「最高」の舞台で平和について「再考」してもらうことを目指す政策。国際休戦サミットGCFASを日本で開催することで世界平和への第一歩に貢献し、国際外交のバランサーとしての立場を確立する。
【瀬野班】
国家Vision:GDP世界2位へ
政策:洋上風力発電
多くの発展途上国が台頭する近年、日本の影響力を維持するためにGDPを世界2位にすることをVisionとして掲げる。具体的には、洋上風力発電で2020年までに風力発電のシェアを15%まで引き上げる。政策導入の結果として電気料金のコストカットにより個人消費が、政府の支援金により政府支出が、洋上風力発電システムの輸出により輸出が拡大し、化石燃料への依存が減少することで輸入が減少するためGDPの上昇が見込まれる。
合宿参加者全員による投票の結果、もっとも画期的かつ魅力的とされたのは小松班の「世界休戦サミットGCFAS」でした。プレゼンの際の堂々とした態度、国家Visionと政策の一貫性、そしてそれが2020年に行われなければならない必然性をアピールできた点が評価されたようです。
国家ビジョンコンペティションの後は、毎年恒例となっている「夢企画」を行いました。
今回の夢企画では、自分の価値観を見つけることを通して自分の未来について考え、そこから自分が今から夢の実現のために実行できることは何かを考えました。
夢は何かまだ決まっていない人でも、こういった段階的なプロセスを踏んで自分が未来のために今何ができるかを明確化することはできます。そういった意味で、今回の夢企画は皆にとって充実したものとなったと思います。
とうとう夏合宿も最終日です。長いようであっという間の3日間でした。
最終日は皆で海に行きました。ビーチフラッグやビーチバレーで思いっきりはしゃいだ後は、熱海の穏やかな海を見ながらたそがれます。短かかったものの、思い出に残る楽しい時間を過ごせました。まさに青春ですね!
昼食後、合宿の間お世話になった宿の方々に感謝の気持ちを伝えました。 そして、三田代表、日吉代表、夏合宿を企画した合宿係によるお話を聞いて夏合宿は幕を閉じました。
夏合宿のテーマは「半学半遊」。色々な企画が凝縮した3日間を乗り越えて、皆オンオフの切り替えが上手になった気がします。学年に関係なく親睦を深めることのできるFront Runnerをより好きになった3日間でした。
文責:鎌田明里、森田健人