第3回FW@キリンビール横浜工場
10月5日、キリンビール工場にて第三回フィールドワークを行いました。
今回のフィールドワークは、日本有数の飲料会社であるキリンの工場を見学し、その環境への取り組みについて知ることで、定例会で扱ったテーマ「経済発展と環境問題」について学びを深めようという目的で行われました。
キリン株式会社は酒類事業、清涼飲料事業などの分野で日本でも有数の規模を誇る会社です。酒類では「キリン一番絞り生ビール」や「淡麗グリーンラベル」、清涼飲料では「キリン午後の紅茶」や「ボルヴィック」など多くの日本人から愛され続ける商品を提供するとともに、「自然と人を見つめるものづくり」をグループ経営理念に掲げる環境にやさしい会社でもあります。
キリンビール横浜工場は生麦駅から徒歩10分ほど。
あいにくの天気でしたが、工場内は工場見学に訪れた多くの人々でにぎわっていました。
工場内に入ると、まず目に飛び込んでくるのは受付の近くに展示されているたくさんのキリン商品の広報物。多くのポスターやテレビCMが私たちの目を楽しませてくれました。
最初にスタッフの方から工場見学についての軽い説明を聞き、早速キリンビール工場見学スタートです。
工場見学は、随所でクイズを交えながらビールの製造工程をたどるかたちで進みました。
まずは、ビールつくりの根幹ともいえる素材について説明を受けました。
ビールつくりの要となる素材は「麦芽」「水」「ホップ」の3つです。
100年以上受け継がれてきた技術で製麦された麦芽、国の基準を超える厳しい独自指標に従った最適な水、自ら産地へ赴いて品質をチェックする「ホップの番人」と呼ばれる職人によって選ばれた「ホップ」。これらのこだわりの素材からビールはつくられています。
ビール製造の最初の工程は「仕込」です。ここで麦芽を砕いてゆるやかに温度を上げ、「もろみ」という麦のおかゆを作ります。そうしてできたもろみはろ過され、「一番絞り麦汁」となります。世の中の一般的なビールが一番絞り麦汁と二番絞り麦汁でできているのに対して、キリンビールの特徴である「一番絞り製法」では一番絞り麦汁のみを使用します。それによって、よりおいしいビールがつくられているのです。
ホップを加える「煮沸」の行程を経た後は、ビール作りに欠かせない「発酵」です。ここでは十分に冷やした麦汁に酵母を加え、発酵タンクで低温発酵させます。そして「貯蔵・ろ過」を経てビールは完成です。こうして長い時間をかけてつくられたビールは、厳しい検査に合格したものだけが出荷され、私たちのもとに届きます。
テレビCMなどで「一番絞り」というフレーズはよく耳にしていましたが、実際にそれの意味するところを知ることができたのが今日一番の発見でした。
ビールの製造過程について学んだ後は、キリンの環境にやさしい取り組みについて学びました。
まずは容器の軽量化です。瓶や缶などのパッケージについては、国内最軽量大瓶である「リターナブル大瓶」の開発、缶蓋の口径を小さくした「204径缶の採用」を通して容器の軽量化を進めています。また、ダンボールなどについては、四隅を切り落とし持ちやすさや扱いやすさを向上させた「コーナーカットカートン」を開発し、パッケージを軽量化することで資源の節約を図っています。
飲料商品の製造に欠かせない水についても、細やかな環境への配慮の姿勢が見られました。キリンビール工場は限りある資源を使い続けることができるよう水の使用量を削減しており、実際に1990年に34,9百万mlだった工場での水使用量は2013年には10,8百万mlまで削減されています。さらに、その使用した水を周辺緑地の散水などにリサイクルすることで徹底した水の有効活用に努めています。
わたしたちにはすっかりおなじみになった「Reduce」「Reuse」「Recycle」もキリンビール工場では実施されていました。
「Reduce」(減らす)は容器の軽量化により資源を節約することで、
「Reuse」(繰り返し使う)はビール瓶・ビール缶を繰り返し利用することで、
「Recycle」(分別して再び資源として利用する)は使用済容器を回収し、その他のリサイクル製品の原料として再利用することで
それぞれ取り組みが行われていました。
目先の利益だけでなく、より長いスパン、地球規模で物事を考えるこのような取り組みは日本の大企業では一般的なものとなりつつありますが、国によってはまだまだ一部の企業が実施しているにとどまっているのが現状です。
CSV(Creating Shared Value。社会にとっての価値と企業にとっての価値を両立させて、企業の事業活動を通じて社会的な課題を解決していくことを目指す新たな経営理念)が全世界に広がっていけば、現在深刻な問題となっている環境問題の解決につながっていくのではないかと感じました。
キリンビールについて深く学ぶことができた後は、おまちかねの試飲タイムです!
キリンのビールや清涼飲料を最大3杯まで飲むことができ、参加者はおのおの自分の好きな飲み物を楽しんでいました。
今回キリンビール工場を見学したことで、今まで何の気なしに口にしてきた商品がいかにこだわりを持ってつくられているのかを実感することが出来ました。
それと同時に、日本有数の飲料会社として発展を続けると共に環境保護などのCSV活動にも取り組むキリンビールの姿勢に、定例会で模索した「経済発展と環境保護を両立できる未来」を見たような気がしました。
文責:矢部麻里菜