第 6 回リフレクション ~ ものづくりとイノベーション
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今回の定例会では、事前学習や吉田丈治様の講義を通し深めてきたテーマである「ものづくりとイノベーション」について、ディベートを実施しました。
かつて世界的に圧倒的な強みを持っていた日本のものづくり産業が、新興国を始めとする多くの国々の追随を受け、21世紀以降凋落の傾向にあります。日本のものづくり産業の復権のためには、イノベーションが必要であるという指摘が度々目されていますが、イノベーティブな製品開発の点でも日本企業は外国企業に劣後している現状が見られます。
そこで、今回のディベートでは、以下のディベートストーリーに沿って、人材の創造性を最大限に発揮できる組織構築の方法を考えました。
<ディベートストーリー>
Front Runner社は、世界最高レベルの液晶ディスプレイ技術を保有するものの、2000年以降のデジタル家電化の流れに後れを取り業績が低迷。企画力溢れる自社製品で勝負することができず、現在では他社製品の下請となってしまっている。その原因を人材の創造性、企画力の活用ができていない現状にあると考えたFront Runner社は、人材の創造性を最大限に発揮できる組織や風土の構築を目指し、従来の年功序列制度並びに終身雇用制度を改め、定昇なし降給ありの成果主義に基づいた人事採用及びに異動を実施することを検討している。
<議題>
「Front Runner社の人材の創造性の活用と企画力の発揮のための方策を考える」
以下、各班が掲げた施策とそのメリットです。
成果主義の導入
年功序列制度や終身雇用制度を廃止し、社員の業績成果やそれに至る過程要素を評価する人事運用を行う。社員同士の競争の活性化、従業員の勤労意欲向上や終身雇用制廃止による人材の硬直化の解消、賃金コスト削減などがメリットとして挙げられる。
オープンイノベーションの構築
オープンイノベーションとそのためのオープンネットワークの構築を行う。創り出そうとする価値やビジネスモデルによって取引相手や取引内容を柔軟に変え、他社の技術が必要になれば力を借り、他社が必要とすれば自社の力を貸すことにより、企業の専門性の向上、新たな視点に基づく商品開発、コスト削減を図る。
ビジネスコンテスト創設
発想力や企画力を育て上げる方法として、ビジネスコンテストを社内で行うことを提案する。所属部署に関わらず横断的にチームを組み、1つの商品企画についてチームで競い合い、特に優れた企画はその後社内で検討し、実際に商品化や技術開発に活用する。これにより新たなアイデアが生み出されるばかりでなく、社員の論理的思考力、問題解決能力、多面的な視点から物事を考える能力を養うことができる。
組織構造の改革
製品開発に直接関与する部署(研究開発、マーケティング、技術等)を解体し、「製品開発課」に一本化する。製品開発課内の製品プロジェクトごとに社員の配属を行い、各プロジェクトチームでそれぞれの専門知識を持った多様な社員が業務を行うプロジェクト別の組織体系に移行する。多様な社員間の交流促進によって、今までになかったようなイノベーティブなアイデアの創出を狙う。
投資拡大と経営者転換
第一に、設備投資・開発投資拡大を行う。市場が急激に拡大する分野において勝敗の鍵を握る投資額を増加させ、継続的に設備投資・開発費投資を行うことで競争力の強化を狙う。第二に、日本人と違う視点を持ち海外ビジネスに明るい外国人をトップに据えることで、社内の意識改革を図る。
ダイバーシティの推進
外国人や女性採用の拡大によって社内のダイバーシティを推進する。日本人とはまったく異なる文化的、社会的背景をもつ外国人の視点、そして女性ならではの視点の導入により、需要が飽和した今の時代における新たな価値の創造、既存社員の意識発揚を目指す。
自由業務の創設
社員に対し、勤務時間の10%を通常業務以外のプロジェクトに充てることを義務付ける。このプロジェクトでは、社員が自由に選択したことを自発的に行わせ、時間内に何らかのプロダクトを生み出しその成果を発表させる。通常業務内では思いつかないようなアイデアの創出、社員の士気向上がメリットとして挙げられる。
WLB向上とコンペ創設
ワークライフバランスの安定を提案する。私生活を充実させるような対策(子育て支援、社員旅行の企画など)を講じることで、仕事だけでなく私生活も充実し、それが社員のモチベーションの向上、創造的発想につながる。
<所感>
まず、テーマに関して個人的な感想です。今回は組織体系に関連するテーマについてディベートを行いましたが、私は、社員を大事にする組織風土が創造性向上に役立つと思います。なぜならば、上司や組織が社員を大切にするため、社員は上司や同僚・部下の期待に応えようと、組織のために創造性を発揮すると思うからです。現代社会では、ブラック企業のような人を使い捨てにする企業があります。そのような企業では、社員は上司や組織のために働きたいとは思わず、社員は創造的ではなく機会主義的に行動するでしょう。
かつて、秘蔵の品物を自慢する豊臣秀吉が徳川家康に「何か宝を持っているか」と尋ねた時に、徳川家康は「わたしのために死を恐れない家来を五百騎持っている。この家臣を至極の宝物と思って、いつも秘蔵している」と言われました。徳川家康が、名刀や名器ではなく、家臣を大事にしていたことがよくわかる逸話です。もちろん、徳川家康は不誠実な家臣を嫌っていますが、一方で家臣の諫言を好みました。私は、徳川家康が家臣を大事にしていたからこそ、最終的に天下を獲ることができたと思うのです。私が将来、組織を引っ張っていく立場になったときは、家康公にならい、部下を大事にするような組織を作りたいです。
次に、ディベートの全体的な感想です。年内最後の活動ということもあり、皆一生懸命にディベートを行っていました。秋学期から編成された班ごとに活動を進めてきましたが、この班での活動も今回が最後です。ディベートが終わった後は食事会を行い、班の垣根を越えて健闘を讃えあいました。キャンパスで行われる活動は今年度最後となりますが、これまでFRで培ってきた経験や技術を、メンバー各々、今年度末の春合宿や来年度のゼミ活動で活用することができるでしょう。
文責 友澤達也