2月16日、オリンピックセンターにて「人口減少社会での戦略〜AIと人間のあり方〜」というテーマのもと、RPAテクノロジーズ株式会社代表取締役社長の大角暢之氏をお招きし、勉強会を行いました。
1995年に新卒でアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社後、2000年にコンルティングサービスを提供するオープンアソシエイツを設立。米Kapow Technologies(現Kapow Software)の持つWeb上のあらゆる情報を収集・加工するテクノロジーを見て“ロボットソーシング”を着想し、2008年にセルフスプロデュース事業としてビズロボ事業部を発足。その後2013年にオープンアソシエイツからBiz-Robo!を移管してビズロボを設立。
「RPA」とは、ロボットによる業務自動化の取り組みを表す言葉である。「仮想知的労働者(Digital Labor)」とも言い換えられ、人間の知能をコンピュータ上で再現しようとするAIや、AIが反復によって学ぶ「機械学習」といった技術を用いて、主にバックオフィスにおけるホワイトカラー業務の代行を担う。(※1)単に人間の作業を代行するだけであり、人間がロボットの作業に介入する必要は一切ない。AIのように難しい技術を必要としないので、エンジニアでなくても気軽に操作することが可能である。ロボットを使えば人件費はかからず、人間の200倍の作業効率で仕事を行うことが可能である。さらに、常に稼働できることから、人間のように作業を一時停止する必要がないという利点がある。ロボットが行うのは、人間が行う単純な事務作業の代行であり、人間はより付加価値の高い仕事を行うことができる。従って、人間の仕事を奪うというような心配をする必要はない。
※1 参考:RPA テクノロジーズ株式会社HP
現在4千から1万台のロボットが稼働しており、パートナー企業は40社に上るが、依然として市場拡大の余地がある。 RPAには2種類の市場がある。一つ目は金融業などの基本的なデータ処理の代行であり、二つ目は警察などが役割を担う、サイバーテロの防止である。
ロボットは、現場の人が思いついたアイディアを、お金と時間をかけずに体現できる。これまで事業をFacebookやTwitterで発信するときは、人やアプリケーションによって発信されており、莫大な費用がかかっていた。そのため、投資対効果が低く、現場のアイディアを発信できずに無駄にしてしまうことが多かった。しかし、SNSでの発信をロボットが行うことで投資対効果が上がり、人間が表現したいことを思い通りに発信することが可能になる。
ロボットの活用は単なる人材派遣と同義であり、利用を促進することで人手不足を解消することができる。ロボットを使うこと自体に技術は必要なく、Robot Laborをどこでどのように働かせるかが今後重要になる。また、人間とロボットが結託して新製品・新サービスを生み出すことが可能なため、イノベーションが起きやすい。そのため、各企業はロボットを単に稼働させることに留まらず、新たなサービスを生み出すためにロボットを活用していくことが重要である。
実際にコンピュータを使用し、ロボットのデモンストレーションを行った。まず、専用のブラウザを使い、インターネット上の情報をエクセルやワードに写す作業をロボットに記録させる。ロボットに作業をする日時と作業回数を入力しておけば、ロボットは指定した日時にそれを施行してくれる。コマンドに人間が行うであろう作業を全て載せているので、ロボットを使用するのは容易である。ex)ヤフーにある情報をコピペしてエクセルに写す、交通費の申請が適正額であるかどうかをチェックする。
人間とロボットは、細かく分業し、作業を効率化させることができる。そのため、ロボットは、今後の働き方革命に貢献すると考えられる。
ロボットの定義は以下の三つである。1. 人間のルーチーンワークを代替できる。2. ロボットがすることで圧倒的に効率が良くなり、費用対効果を最大化する。3. 人間と同じくらい業務変化に対応できる。
RPAは、言語やツールが必要でないため、プログラミングのような技術を必要としない。また、業務内容の変化にも対応することができるため、導入や運用が容易である。従って、費用対効果が人間より高い上に、人間より長時間働くことが可能である。現在の日本では、残業で些細な事務作業をすることが日常茶飯事となっており、そのことがホワイトカラーの生産性を低下させている。先述したように、ロボットが人間の仕事を奪うとは考えられず、むしろ、ロボットを活用することで煩雑な仕事を人間がする必要がなくなり、生産性が向上すると予想される。
Q1.どのようにしてRPAを思い付いたのですか。また、日本で普及するまでの過程を教えてください。
A1.今までホワイトカラーの仕事は、人とITの二層で行ってきました。しかし、これからは人とロボットとITの三層で仕事をするようになると予想し、2013年に会社を創業しました。当初は周囲から人間の仕事が奪われるのではないかと警戒されていました。しかし、技術の進歩により三層での仕事が可能になり、ロボットはミスをしないため、世界的に評価されるようになりました。最初は過酷な事務センターや少数の企業からの需要しかありませんでしたが、大手金融機関が利用を開始し、日本に普及しました。
Q2.情報のセキュリティの問題にはどのように対処しましたか。
A2. ロボットは人間のように情報を悪用することはなく、個人情報などのセキュリティは人間よりも高いです。しかし、ロボットはエラーを起こすことがあるため、最初からロボットに作業全てをやらせようとするのではなく、作業を人間とロボットが連携し、徐々に仕事を増やしていくことが大事です。システムを作りのすべてを自動化させようとすると失敗しますが、単に人間の仕事を代行するだけと捉えることがロボットを上手に活用できる鍵であると思います。
ロボットはAIのような高度な技術を必要とせず、人間よりも効率的に大量の仕事を代行できます。そのため、RPAは今後の労働者不足を解決するために重要なテクノロジーであると感じました。人間の仕事を代行することから、人間の仕事を奪うのではないかと懸念する人も多く存在しますが、ロボットが行うのは人間が嫌厭するような些細な事務作業であり、それをロボットが代行することで人間はより付加価値の高い仕事を行うことが可能になるため、人間の仕事を奪うことはないと理解することができました。また、人間・ロボット・ITで分業することで効率的に生産活動ができる上、新たな製品やサービスを生み出していけるため、企業がイノベーションを起こすことにも貢献することが分かりました。以上のことから、ロボットは今後の日本社会において大いに活躍するものであると感じました。
今回ご講演いただきました大角暢之様、ありがとうございました。
文責 小嶋万里佳