2月12日、オリンピックセンターに江口克彦氏をお招きし、道州制の是非についてご講義いただきました。
日本の現状は、都道府県別人口の推移や企業本社の移転を見ても明らかなように、東京は栄えて地方は衰退している。このままでは地方の働き手流出や高齢化に加え、東京においても過剰な人口や都市の荒廃といった問題が生じてしまう。
また、中央集権体制や官僚制には以下の3 つの弊害がある。
①中央集権体制によってヒト・モノ・カネと情報が首都へ一極集中し、官僚制により霞ヶ関が地方を支配する国のかたちが作られている。官僚は地方の現状を知らないため効率的な地方行政が行われず、一方的かつ画一的指示が行われるに留まっており、地方では不満が募っている。
②全国一律の政治行政によるムダ、赤字財政の累積によって財政破綻自治体と財政破綻国家を生み出す。
③このままでは地域格差の拡大、政治の混迷、経済の低落、国民の意識喪失等といった衰退がはじまる。このように中央集権体制と官僚制は表裏一体であり、国を滅ぼす諸悪の根源であるため、これらを打破しないと日本が繁栄発展しない。
これらをふまえて、地域主権型道州制を断行すべきであると江口氏は考える。地域主権型道州制とは、地域に密着し、地域が主体となり、地域住民が納得満足し、またムダのない行政が行われる国のかたちのことである。そして、各道州は自主課税権、税率決定権、徴税権を掌握し税財源を独自に確保し、道州はそれぞれ自主立法権も確保する、と定義づけている。
さらに、江口氏は道州の規模は海外の国と対抗するため、500~1000万人が必要という見解を示した。また、区割りについては一旦白紙にして、経済的・財政的自立が可能な規模で地域の人々の意向を踏まえて考えるというプランを掲げていた。
道州制には、
①日本全国を元気にする。
②地域が主体となり、地域住民に密着した政治行政を行う。
③全国各地域に自主的に繁栄する拠点を作る。
④多様性のある国土にし、海外からの観光客が来訪、外資が進出する魅力ある国家を形成する。
⑤赤字財政解消という目的が挙げられる。
地域主権型道州制によって、一例ではあるが企業の移入や外資の進出、人口の社会移動、国際競争力の強化、といった効果が期待できる。江口氏が中でも特に強く主張していたのは、地域主体の政治ができるようになることによるメリットであった。
パワーポイントを利用し、データに基づいて論理的に説明してくださったため、非常に分かりやすかったです。大変勉強になりました。ご講演いただきました江口克彦様、本当にありがとうございました。
文責:松本駿