4月6日、読売新聞特別編集委員の橋本五郎氏をお招きし、新歓講演会を行いました。
橋本氏は、物事を考えるに当たっては「鳥の目」と「虫の目」の両方の視点が必要とされると述べられた。
「鳥の目」とは、「世界経済」のような大きな時代の流れを考える視点のことであり、
「虫の目」とは、1人ひとりの喜びと悲しみを考える視点のことである。
東日本大震災を、まず、「鳥の目」を用いて考えると、自然やエネルギーとどのように付き合うべきかが問題となる。
1953年、アイゼンハウアー大統領の「原子力の平和利用」宣言により、戦後初めて資源の乏しい日本が原子力研究を行うことを許されたため日本中が歓喜した。 しかし今日では、原発事故を受け、当時日本が原子力研究に踏み切ったことは批難の対象となっている。また、原発はもはや人間の手には負えない「リヴァイアサン」と化してしまった一方で、地球環境には優しいといった側面もある。
次に、「虫の目」を用いて東日本大震災を考えると、地震、津波の犠牲者やその遺族の問題が挙げられる。
文明国日本において、3300人もの津波の犠牲者が未だに行方不明であることは、人間の尊厳にかかわる問題である。発見されない3300人の身近な人たち1人ひとりの気持ちは計り知れない。
虫の目、鳥の目両方の視点を用いても解決することが出来ない複雑な問題が多くあるが、その「複雑さ」に耐えることが必要である、と橋本氏は述べられた。
大震災とは一種の戦争ととらえることができる。 日本は第二次世界大戦以降に戦争経験がないため、被害を抑える計画が下手であった。日本政府は、各国大使館にチェルノブイリ程の大災害にはならないと主張するべきであった。こうした点からして、海外政府は日本政府の原発対応を評価していないであろう、と氏は続けた。
また、大学生活を送るにあたって大切なことをご教授して頂いた。
何事にも全力で当たることや、傲慢にならないこと、嫌だと思った人の中に自分より優れた点を見つけること、そして、自分の周りの人を愛することが出来なければ社会を救うことは出来ないこと…
だからこそ、親や身近な人を大切にしていくことが重要であると、橋本氏は強調された。
新しく大学に入った新入生だけではなく、新学年を迎える上級生にとっても、非常に貴重な機会となった。これからの学生生活を過ごす上でも初心を忘れず、周りの人とその支えに感謝していきたいものである。
今回ご講演いただいた橋本五郎様、本当にありがとうございました。
文責:岩崎亜胡