2017年度 第3回事前学習

平和主義の行方~憲法第9条と平和の行方~


 6月16日、日吉キャンパスにて第3回事前学習が行われました。これから3週間かけて学ぶテーマは「平和主義の行方~憲法第9条と平和の行方~」です。今回は、比屋根・井上によるファシリテーション形式で、自分の平和観や日本の平和主義のこれからについて考察しました。以下はその内容です。

人と人の仲、国と国の仲


 安倍晋三首相は5月3日、「憲法改正を求める集会」で「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と表明しました。首相は憲法第9条を改正項目とし、「1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むという考え方は国民的な議論に値する」との考えを示しました。憲法改正の際、国民投票となることから、私たちに密接に関係する問題であると言えます。そのため、大学生の私たちも、この問題を自身のこととして捉える必要があります。そこで、人と人との仲を国に置き換え、自分の平和観と向き合い、日本の平和主義のこれからについて自分の意見を持つことを目的としてテーマへの理解を深めました。

自分の平和観を探る


 過去から現在に至るまで、ISISや北朝鮮のミサイル発射問題など国際平和を脅かすような問題があります。そこで、「平和とは何か」について、グループごとに定義し、全体へ向けて発表しました。サークル員からは「お互いに話し合うことにより、相互理解が可能な状態」「争いに対する危機感が無く、傷つく人がいない状態」などの意見が挙げられました。

日本の平和主義のこれからを考える


 国際情勢や社会の変化に応じて憲法第9条の解釈は変遷していますが、現在は自衛隊派遣を拡大するか否かについて様々な議論が交わされています。そのため、戦力不保持が国際平和に繋がるのかを個人の視点で考えました。具体例として、「自分がアメリカで永住するなら銃を保持するか、否か」を論題とし、ディスカッションを行いました。サークル員からは「銃は相手の攻撃への抑止力となる」「銃社会のアメリカでは、銃は自らの命を守る手段として必要である」「銃で相手を撃つ行為に抵抗がある」「正しく銃を使いこなせるのか不安である」などの意見が挙げられました。最後に、今まで日本の平和を守ってきた要素とこれからの平和を守るものは何か、自衛隊や他国への協力の在り方などについて全体で議論し、考えを深めました。

勉強会に向けて


 次回の勉強会では、元朝日新聞記者で現在はフリージャーナリストとしてご活躍されている伊藤千尋氏をお招きします。ジャーナリストとして豊富な取材経験を持つ伊藤氏から、机上の空論にとどまることのない、平和や憲法第9条に関するお話を伺います。憲法第9条や安全保障の在り方についての議論は専門的で敬遠されがちですが、学生がこれらの問題を身近に感じ、関心を持つきっかけになればと考えています。

所感


 今回の事前学習を通し、現在メディアで取り上げられることの多い平和に関する問題について考え、自分の意見を持つきっかけになったと感じました。また、この問題は自分に関連のない問題なのではなく、皆が問題意識を持ち、深く考えなければいけない問題であると思いました。

 

文責 金重有哉