2月16日、オリンピック記念青少年総合センターにてGroupBの事前学習が行われました。今回学ぶテーマは「企業のグローバル化~戦える日本企業~」です。今回は比屋根、酒井によるファシリ テーション形式で、本テーマについて日本の現状と今後の展望を考察しました。以下はその内容です。
グローバル化とは一般的には、ボーダレス、フラット化等とされています。しかし、グローバル化に対する明確な定義はありません。そこで、企業を支える「人材」に焦点を絞り、人材のグローバル化について考えました。
それでは、グローバル人材とはどのような人を指すのでしょうか。グローバル人材に必要な要素として、1.環境適応能力、2.好奇心が旺盛であること、3.対人コミュニケーション能力、4.人間力の4つが挙げられます。政府は、主に対人コミュニケーション能力に力を入れています。そのため、政府は「グローバル人材に係る初等中等教育」を掲げ、義務教育では「英語・コミュニケーション能力等の育成、異文化体験の機会の充実」、高等教育では「留学の促進」、教員の教育においては、「資質・能力の向上」を試みています。しかし、TOEFL(iBT)の国別ランキングによると、日本の順位は163位中135位、アジア30ヶ国中下から4位であり、必ずしも政策の効果が表れているとは言えません(※1)。
※1グローバル人材育成推進会議,「グローバル人材育成戦略(グローバル人材育成推進会議審議まとめ)」,http://www.kantei.go.jp/jp/singi/global/1206011matome.pdf,2017.05.21
企業のグローバル化を試みる企業では、海外直接投資、企業の多国籍化、産業の空洞化、外資系企業、社内公用語英語化、資本の過剰流入などの動きが見られます。その中でも、英語力を求める日本企業の割合は急激に増えています。企業が求める英語力は、初級レベル(簡単な読み書きや会話ができるレベル)で2005年の4.7%から2012年の61%に、上級レベル(ビジネスにおける商談・交渉ができるレベル)で2005年の1.0%から2012年の29.2%に増加しています。一方で、ビジネスパーソンの実際の英語力は企業が求めるレベルよりも低く、TOEIC未受験のビジネスパーソンも多く存在します(※2)。このように、企業が社員に求める英語力と実際のビジネスパーソンの英語力にはギャップがあります。
しかし、一部の企業は、英語での文書作成、組織のビジョンの英訳、海外拠点との日常業務連絡に英語を使用するなど、英語を活用したビジネスを進めています。
※2 DODA,「グローバル採用の実態調査2012 −企業が求める“英語力”とビジネスパーソンの“英語力”」,
https://doda.jp/guide/ranking/056.html,2017.05.30
主要国(ここではOECD諸国を指す)の対内直接投資残高のGDP比の推移は、2003年以降日本が最下位です。(※3)日本の対内直接投資と対外直接投資残高を比較すると、対外直接投資残高の方が対内直接投資残高の数倍も大きく、この2つの値の比率は他の主要国と比べて最も低い、という現状です。(※4)日本企業がグローバル化を試み、他国の企業と競争する上で、海外への直接投資が今後増えていくことが予想されると同時に、そのことは必要条件であると考えられます。
※3内閣府,「対内直接投資活性化への取組状況について」,http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/bunka/kokusai/dai1/siryou4-1.pdf,2017.05.30
※4内閣府,「対日直接投資の状とその促進に向けた取組等について」,http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/investment/01/haifu_04.pdf,2017.05.30
勉強会では、日本企業のグローバル競争力強化に尽力されているデロイトトーマツシニアディレクターの日置圭介氏をお招きし、「企業のグローバル化とは何か」を伺います。また、多業種の日本企業において、グローバル本社や地域統括ファイナンス機能などを対象としたグローバル組織/機能戦略の構想・実行を支援している理由や、実際にどのようなことをされているのかについて伺います。
企業のグローバル化とは何を意味するのか、何を持ってグローバル化というのかを考えることが大切であると思いました。グローバル化が叫ばれているものの、結局言葉が一人歩きしているだけであり、具体的な政策は十分に行われていないと感じました。
文責 比屋根り子