10月25日、第5回事前学習が行われました。
これから3週間かけて学ぶテーマは、「日本の司法」です。私たちは日本の理想とする社会を「国民が司法へのかかわりを考える社会」と設定し、日本のこれからを考えました。
今回は、2年生の田中によるファシリテーション形式で「日本の司法」について学びました。以下はその内容です。
初めに司法権についての説明がなされました。司法権とは、具体的な訴訟について法を適用し、宣言することによって、これを裁定する国家の作用を指すとのことです。
その後、複数のグループでディスカッションを行いました。主な意見としては
・死刑制度と無期懲役・国民審査の形骸化が見受けられること
・嫡出子と非嫡出子間における不平等
このような意見が出ました。「司法権」という難解なテーマの下で苦戦する面もあった様子でしたが、憲法の内容面から問題提起をするケースが多かったようでした。
この議題については、少人数のグループでディスカッションを行いました。様々なグループで賛否両論の意見が挙がっていました。
主な賛成意見としては「司法のプロと一緒に考えることで、時代に応じた価値観を受け入れられる」「統計的に考えれば裁判員の集め方に偏りはなく、一般市民としての目線が必要である」といった意見が見受けられました。
逆に反対意見としては「一般人は流されやすく、構成員によっては判決に影響が出てしまう」という意見が挙げられました。「裁判員制度」のような身近な議題であったために、様々なグループ間で議論が活性化していました。法曹人口あたりの国民数のデータによると日本では6300人ということですが、アメリカでは290人、イギリスでは710人とのことです。つまり、アメリカやイギリスと比較すると、日本では1人の検察官や弁護士の受け持つ国民の数が相対的に多く、従って日本では法曹人口が不足していると言えます。
この議題についても、複数のグループに分かれて議論を行いました。
・対立を避ける日本人気質に影響されているから
・相談するモデルケースが少ないから
・自分たちで解決しても安全だという、治安が影響しているから
・行政書士が解決してくれるなどの、示談が多いから
・コスト面に問題があるから
・基本的に訴訟手続きの方法をしらないからなど
といった意見が挙げられました。適宜具体例を提示することで、より深くアメリカの訴訟制度について理解することができました。現在の日本では、法テラス(日本司法支援センター)や裁判外紛争解決手続き(ADR)などといった対策が採られているようです。
一見したところ、さほど身近なテーマとは考えられないかもしれませんが、実は司法とは私たちの日常生活とは想像以上に密接に関連したものなのではないでしょうか。このようなテーマを通じて、日頃あまり意識しないであろう裁判や訴訟要件などをはじめとした法体系への関心を深めていき、今回の事前学習を有意義なものとして活用していこうと思います。
今回の事前学習で学んだことをもとに、「講義」「リフレクション」を通じて、更にこのテーマについて理解を深めていきます。そして次回は11月1日、横浜弁護士会の尾家康介氏をお招きして、ご講義頂きます。
文責:山村久志