2013年度 第3回事前学習

科学の発展と生命倫理


 6月21日、日吉キャンパスにて第9回定例会が行われました。今回の定例会は事前学習でした。これから3週間かけて学ぶテーマは「科学の発展と生命倫理」です。

 

 「科学の発展と生命倫理」について、私たちは日本の理想とする社会を「科学の発展が人々の幸せに繋がる社会」と設定し、日本はこれからどうあるべきかを考えました。今回は2年生の田中によるファシリテーション形式で「科学の発展と生命倫理」について学びました。


すべての遺伝子が解析される社会とは


 この議題には様々なメリットやデメリットが挙げられました。遺伝子解析を行うことで、先天的に罹りやすい病気を調べられ、その病気への予防などには役立てられる面はあると思います。しかしその反面で、遺伝子に基づく新たな判断基準による差別や、プライバシーの侵害といったマイナス面も考えられます。一概に良いか悪いかを言い切ることはできませんが、様々な意見が挙げられており、積極的な議論の展開につなげられたと思います。


自分のゲノムについて知ること


 ゲノムについて知る、ということは自らの持つ遺伝子そのものの生まれ持った能力について知ることができる、と言い換えられます。この元々の能力を基準にして、今を生きる自分がどのように変化してきたかを知り、未来へと役立てていくことは可能です。しかし、ゲノムの持つ膨大なデータを解析していくにつれ、知りたくはなかったデータも出てくることも予想されます。個人個人によりますが、寿命などはその一例と言えるのではないでしょうか。現在では割と容易に検査ができることから、どちらかと言えば知りたいといった意見が多数派でした。


人はいつから人か


 この決定については医療上の見解と法律上の見解では大きく分かれています。こういった状況である以上は断定づけることはできませんが、例えば民法の定義を例に出すと、民法では胎内にいるときから人だとされています。これは仮に父親が不測の事故などで亡くなってしまった場合に、過失者に損害賠償を請求できるようにする、といった側面などがあると考えられます。これも個人によって見解は分かれていましたが、人間の根本に関わるテーマであったために、多くの人が苦戦していたようです。


所感


 今回の「科学の発展と生命倫理」は、テーマとしてはかなり難解だと思います。事実、現在においても専門家で意見が分かれているテーマもあります。しかし、これらのテーマは私たち学生などは特に、これから生きていくうえではいつかは意識しなければならない問題だと思います。この先で子供を授かる学生もいることでしょう。そういった意味で、学生である今からこのテーマについて考えていくことは今後の人生設計を考慮した上でも有意義であると言うことができます。


 今回の事前学習で学んだことをもとに、「講義」「リフレクション」を通じて、更にこのテーマについて理解を深めていきます。そして次回は6月28日、小児医療センター遺伝科の張香理様と、医療福祉大学医療福祉学群准教授の山内泰子様をお招きして、ご講義頂きます。


文責:山村久志