10月26日の定例会では、外交における「日本のこれから」を考えるため、昨今報道でも取り上げられている領土問題についてのディスカッションを行いました。
本タームにおいては、日本が理想とする社会を「安全に暮らせる社会」と設定し、安全に暮らせる社会を実現するためには、外交や領土問題における日本のあり方について考察する必要があると考え、議論を進めていきました。
2012年9月11日に日本が尖閣諸島を国有化して以降、日中関係は悪化したという見方ができます。しかし、こうした事態になることは政治家も検討できていたでしょう。私たちは、それでもなぜ、国は諸島の国有化に踏み切ったのか、また、本来島の管理権はどの機関が所有すべきなのかを議論しました。
Q1.尖閣諸島を国有化する意義とは。
メリット
・海洋資源が日本のものであることを明確化できる。
・国有化した方が、いざ中国が来た際に防衛しやすい。
・中国、世界に対する外交上の決断力をアピールすることが可能である。・日本国民が領土問題を真剣に考える契機となる。
デメリット
・経済的な打撃となった。
・曖昧であった領土問題の存在を完全に認めてしまった。
・20億払ったのは財政的にもコストが大きく、国家予算の使用用途として疑問。
・これまで曖昧にされてきた領土問題に触れたため、中国も反応せざるを得なくなり、日中関係が悪化した。議論の中では、いきなり国が買うのではなく、段階的にまずは東京都が買い日本国としての責任を最小化するべきであったのではないか、という意見も挙げられました。たしかに、国有化の前の動きとして、東京都が島購入のために寄付金を募ったという事実もあります。
Q2.東京都が尖閣諸島を購入した場合、その意義とは何か。
・国を動かすために石原氏が発言し、行動に出た。
・東京はオリンピック誘致のために世界から注目を浴びようとしたのではないか。
・東京都民の関心の高さを募金金額で数値化し、国にアピールするため。
・東京以外の自治は予算的に赤字であるため、予算的に余裕のある東京都が行動した。
・島の所有を都にとってのビジネスチャンスと捉えた。
Q1とQ2に共通するのは、国有化も東京都による購入計画も、国民が領土問題に関して関心を向ける機会になっているということでした。
領土問題を解決することは外交問題の解消に繋がり、結果的に安心して暮らせる社会が守られることになります。こうした「日本のこれから」を考えるべく、次回は「政府は島の管理権を自治体に譲るべきであるか否か」という議題に対して肯定と否定に分かれてディベートを行います。
文責:森嶋裕子