2013年度 第6回リフレクション

人口減少社会 ―有効な人口増加策とは①―


 今年度の春合宿では、春合宿にお招きした講師の方々との勉強会を通して学びを深めてきたテーマである「人口減少社会」について、ディベートを実施しました。


ディベート


議題

「二人っ子政策と移民受け入れ、どちらの方策が人口を増加させる策として有用か」

 
以下、二人っ子政策派・移民受け入れ派において挙げられた論点です。

 

二人っ子政策派

 二人っ子政策とは、子供を二人以上生んでもらうための出産振興策である。世帯ごとの子供の数に応じて負担する所得税率を変え、子供の数が少ないほど、負担する所得税率が高くなっていく仕組み。ただし、身体的な理由で出産できない場合は、申告することによって税率の引き上げを免除できるものとする。

 

・出産の振興によって、次世代を担う子供を増やし、少子高齢化による労働力不足と社会保障制度などの問題点を解決することができる。

・消費者である人口増加により、安定した経済成長を持続させることができる。

・子供が増えるため、長期的スパンで考えると税収が増大する。未来の納税者を増やすことで、税収の拡大につなげることができる。

・制度運営を工夫することで、二人っ子政策により現時点で子どもを持たない夫婦、そして子どもが1人の夫婦には高い税が課せられることになり、そういった夫婦が経済的負担に苦しむことで子どもを生みにくくなってしまうという問題は解決できる。


移民制作派 

 移民政策は、主に単純労働者ではなくいわゆる高度人材の移民を指す。ここでいう高度人材は、日本に留学している外国人留学生、日本の企業でホワイトカラーとしての労働を希望する外国人を指す。具体的な施策としては、大学への留学生の促進、日本での就職支援、帰化の条件の緩和の3つを柱として行う。大学への留学生の促進としては日本で働きたい、日本で学びたいと思ってもらう外国人を増加させるために、ソフトパワーと発信力の増強を行う。

 

・子育て支援の場合には生まれた子供が育つまでに最低でも20年以上の月日を必要とするが、移民政策の場合にはその年度からのある程度の効果が見込め、労働力ひいては生産力の増加に直結する。

・世界各地から、日本で価値を生み出したいと思う人材を多く集めることで増加する労働人口に多様性が生まれ、日本の企業の競争力は向上する。

・雇用形態や福利厚生などについての改善など、日本の成長の足かせになっているような慣習が、移民獲得のために、また、獲得した結果によって、改善され、日本の生産性が向上する。

・日本に移住を希望する外国人は、日本の文化などに興味があり留学などで日本の価値観などを共有していると考えられ、EUなどで発生している文化や言語の違いによるナショナリズムの向上などはおこらないと考えられる。

・就学を目的としない単純労働者の拡大策はとくに行わないので、治安の悪化などの影響もほぼないと考えられる。

・移民を受け入れた結果どのような変化が日本に起きるのかは不明な点が多く、リスクが高いが、人口を増加させることは急務であるため、ある程度のリスクは仕方がない。


総括


 今回のディベートは、普段の定例会で行っている一つの論点について肯定派と否定派に分かれて行うディベートとは少し趣向を変え、ある問題の解決のためにそれぞれの班が解決策を出し合い、その案を戦わせるものとなりました。

 

 異なる案を戦わせるということもあり、議論が「人口を増加させる」という本筋から逸れないように議論を進めていくことは難しく感じました。ですが、両班ともに自分達の班の案のメリットをしっかりと把握し、目的意識を明確に議論を進めていくことが出来ていたため、人口減少の解決策について考えさせられる良いディベートとなっていました。

 

文責:矢部麻里菜