2013年度 第2回リフレクション

日本の農業と食


今回の定例会では、Case Studyや児玉氏の講義を通し深めてきたテーマである「日本の農業と食」について、8班に分かれ、ディベートを実施しました。

 

それぞれのディベートには2名ずつジャッジをつけて判定を行いました。

肯定・否定はあらかじめ決めるのではなく、ディベート当日に決定されます。

 

ディベートルールはディベート甲子園(公式HP: http://nade.jp/koshien/)の形式をもとに作成したFR Debate Rule Bookの形式に従っています。


ディベート


議題

「農産物の貿易を自由化すべきか否か」

 

以下、肯定派・否定派において挙げられた論点です。

 

肯定派

・様々な海外の農産物が日本に入ってくることにより、価格や生産国の幅が広がるため、消費者の選択肢が拡大する。

日本の農業従事者が、安い海外の農産物に日本の農産物が負けてしまう危機感を持つことで、日本の農業の構造改革の契機となりうる。

・自由貿易になるということは市場が拡大することなので、その分日本の農業の輸出力や生産力が向上する。

・貿易が円滑化し、海外からの直接投資など市場が活性化する。

  

否定派

・海外の安い農産物に日本の高い農産物は負けてしまい、競争力の低い日本の農業が衰退する。

・日本と海外の安全基準の違いにより、輸入作物の安全性が危ぶまれ、健康被害の可能性が広がる。

・自由貿易になった際、国が農家に補助金を出す場合、政府の負担が非常に重くなる。

・安価な海外の農産物が日本で台頭することで、日本産の農産物の需要が低下し、日本で農産物をつくる必要性がなくなり、日本の食糧自給率がさらに低下する。

・貿易自由化によってGDPが減少するため、その分雇用が失われる。


総括


 今回は2回目のディベートということもあってか、ほとんどの班の反駁の担当が1年生でした。1年生はまだディベートを始めて間もないのにも関わらず、しっかり筋の通った反駁ができていました。また、前回のディベートの反省を活かし、否定側も肯定側も評価基準に合わせた立論を作ることができていました。さらに、しっかりデータを根拠に立論を立てている班が多く、前回よりひとつひとつの立論が非常に説得力のあるものになっていました。


 そして、ディベート終了後のセルフディスカッションでは「日本政府は零細農家を保護するべきか、あるいは弱い農家は淘汰されるべきか」ということについて45人の班に分かれて話合いました。この議題については意見が分かれました。


 前者においては、日本の兼業農家より零細農家のほうが農業に従事する時間が多い分品質の高い農作物をつくれるため、零細農家はしっかり守っていくべきだ。という意見がありました。


 後者においては、現在の日本政府の保護は手厚すぎるため、競争力を働かせるためにも保護する必要はない。という意見がありました。

 

 最後に、身近な例としてスーパーに置いてあるレモンの写真が2枚提示されました。片方は198円の国産レモン、もう片方は150円の外国産レモン。しかし外国産のレモンには使われている農薬の名前と、必ず洗って食べてくださいという注意書きがあります。自分ならこの2つのレモンのどちらを買うかという質問に対して、国産レモンを買うという人がほとんどでした。

 

 この3週間を通して、日本の農業について学んできたことで得た結論はそれぞれ違うと思います。しかし3週間前とは違い、間違いなく一人ひとりが自分の意見を持つことができました。これがFront Runnerでの一番の収穫だと思います。

 

 今回のリフレクションで「日本の農業と食」のテーマは終了です。しかし、ここで自分の学びを終わらせてしまうことなく、今後も日本の農業と食に関心を持って過ごしていきましょう。

 

文責 中杉郁佳