2012年度 第9回リフレクション

消費税増税の是非


 今年度の春合宿では、春合宿にお招きした講師の方々との勉強会を通して学びを深めてきたテーマについて、ディベートを実施しました。


論題「消費税を増税すべきか否か」

肯定側立論


『消費税を2015年までに8%に引き上げた上、増税による需要低迷がきわめて少ないと考えられる項目について2020年に15%に引き上げる。 さらに、状況に応じて適切に生活保護が適用される収入の最低基準を引き上げる。』


1.投資家からの信頼が回復し、株価が上昇することで景気が回復する。

2.安定した財源の確保を実現し、財政の圧迫を緩和することで、社会保障や公的サービス維持の足掛かりとする。

3.経済と財政という2つの課題を一度に達成することができ、国会でも通りやすく実現可能性が高い。


否定側立論


1.税収は消費税以外の税でも増やすことができ、消費税は税収を増やす手段として適切でない。

2.消費税には逆進性があるため、所得の再分配という税本来の機能を果たさない。

3.消費税増税によって国民の消費が冷え込み、景気が悪化する。


否定側第一反駁


① 1について、財政再建によって信頼回復するとしたら、税収引き上げの手段はほかにもある 。

② 1について、消費税による景気回復は、消費税が下がるとむしろ不十分。

③ 1について、国債の利子率が下がると株価は変動が鈍る。

④ 1について、因果関係が逆。経済が活性化したから株価があがる。


肯定側第一反駁


Ⅰ.1について、所得税や法人税は安定財源にならない。Ex)フランス

II. 1について、日本は所得税が高いため、これ以上の引き上げは非現実的。(富裕層の海外流出の恐れ)

III.2について、のちに生活保護の基準引き上げなど社会保障に還元することが可能なので、徴税の段階における逆進性は解消できる。

IV. 2について、全体の公平性を保つために逆進性にとらわれることはふさわしくない。

Ⅴ.①について、消費税は脱税の可能性が低く、より確実に税を徴収することができる。   

cf)国税庁


否定側第二反駁


ⅰ.Ⅰについて、EUは域内の人の移動の自由が保障されているためフランスの例は特殊。

ii. Ⅲについて、逆進性のある消費税を増税するなら、最初から違う税でもよい。


肯定側第二反駁


・ ⅰについて、国債の発行数など、日本の財政状況を見ると今増税しなければならない。

・ ⅱについて、増税させるべき税は、安定的な財源確保という利点から言って消費税である。

この議論の結果、否定側の勝利となった。


講評


・ 話すスピードが速く聞き取りづらい。

・ 第一反駁で反駁すべき点を第二反駁で論じていることがあった

・ 立論において問題の所在があいまいでわかりにくい。

・ 逆進性は緩和できるとはいっても最初から逆進性の無い税を対象にすればよいという反駁ができてしまう。

・ 否定側の質疑と第一反駁に一貫性があり、わかりやすい。

・ 否定側は一つ一つ立論を潰していた。


文責:平野玲奈