今年度の春合宿では、春合宿にお招きした講師の方々との勉強会を通して学びを深めてきたテーマについて、ディベートを実施しました。
1. 行政の効率化
…議会費、総務費など9つの分野で大幅な費用削減可能性が見込まれる。
2. リスクヘッジ
…各道州の政策善政競争で最善の政策選択が可能。東京一極集中を避けることで災害時の相互補完が期待できる。
3. 広域行政化
…広域的、総合的視野に立った地域づくり、広域課題への対応の迅速化への期待。
4. 行政の柔軟化
…地方自治体が住民のニーズに即したサービスと地域振興を実行できるようになる。
1. 社会保障の格差
…各道州間の労働人口、老年人口の割合の違いで受けられる社会保障の料金、内容に格差が生まれる。
2. 国の負担
…州が地方自治に失敗した際、カバーする国のコストが多大。
① 1について、北海道と沖縄は区画が変化しないため、行政の効率化は発生しない。
② 1について、セーフティネットの消失、モラルハザードが起こる。
③ 2について、地域密着の政策をするわけだから、ほかの道州の政策は参考にならない。
④ 2について、政策のばらつきが多いということは、リスクも多く伴う。
⑤ 3について、広域連合制度でいいのではないか?
⑥ 4について、地域に即した政策は出来ない。
Ⅰ.①について社会保障費が国へ税金として行かずに、手元に残るわけだからその分効率化が図れているといえる。
II. ③について、政策そのままをするわけではなく、その中にある個々の点を見習うということなので参考になる。
III.⑤について、時間や手間がかかる
IV. ⑥について、その地域に合理的な政策をするはずなので、地域に即したものが出来るはずだ。
Ⅴ.1について、老年人口の割合はさほど異ならないのでそれによって社会保障に格差が出るというのはおかしい。
VI. 2について、国が失敗したより州で失敗したほうがダメージは小さい
VII.2について、地方交付税が減って地方が困るという事態が今でも起こるので、道州制を導入したからと言って破綻するとは言えない。
ⅰ.Ⅱについて、過去にも日本は様々な政策を行ってきたのだからそれを参考にすればいい。わざわざ道州制にする意味はない。
ii. Ⅲについて、手間がかかるかどうかは、データがないのでわからないはず。
iii.Ⅲ→導入後について言っている。
iv. Ⅳについて、それでは国が関与しない場合の政策はどうするのか?
ⅴ.Ⅴについて、老年人口はこれから増えることも考えられる。また、労働人口の差はあるため、やはり格差は生じるといえる。
・他国と日本は特色が異なり、高齢化のように日本特有の問題が存在する意味はある。
・導入後について言っているというが、今もあるためにデメリットとして機能しているとは言えず、固有性に欠ける。
・肯定側がディベートの前に資料を配っていたのはいいが、説明が足りず丸投げのような印象を受けた。
・肯定側はもっと否定側の立論について反駁するとよい。
・ 反駁の順番があちこちに飛んでいたために、どの論点に反駁しているのか分かりづらかった。
→まず論点に反駁、次に…というように順序づけると審判もオーディエンスも混乱せずに済む。
・ まだ審判のほうを向いて説得するということが出来ていない。←第三者である審判を説得するというディベートの本旨を理解していない。
・ 資料などを読み上げる際の話すスピードに気を付けるべき←予備知識のない相手、審判、オーディエンスに議論を理解してもらうため
・ どちらの班も質疑が反駁にあまり繋がっていない
→立論に対して出た反駁をするために確認しておきたいことを質疑に持ってくることで二つが有効に機能し得る。
・ 否定側で質疑が反駁チックになっていたので、この境界線を間違えないように。
・ 肯定側の広域行政化に対する否定側の広域連合制度でいいのではという指摘が強く、重要性と解決性の点数を大幅に下げられた。
・ 否定側の資料の準備の良さが勝因に大きく貢献した。
・ このディベートでは、肯定側の論点が4つ、否定側の論点が2つと、メリット・デメリット比較方式で採点するにあたって初めから不公平が生じているようにも見えたが、実際にディベートを行ってみると論点が多いと一つ一つを深く掘り下げられないといった点が生じる等、一概に論点が多いと有利だとは言えないことが分かった。
文責 松本駿