2012年度 第2回勉強会

環境保全に果たす役割


 今回の定例会では、Case Studyや水野氏の講義を通し深めてきたテーマ、日本国内における排出量取引について、6班に分かれ、ディベートを実施しました。 それぞれのディベートには2名ずつジャッジをつけて判定を行いました。


 肯定・否定はあらかじめ決めるのではなく、ディベート当日にくじ引きによって決定されます。 ディベートルールはディベート甲子園(公式HP: http://nade.jp/koshien/)の形式をもとに作成したFR Debate Rule Bookの形式に従っています。


ディベート


論題

「日本は国内排出量取引を増やすべきか否か」


以下、肯定派否定派において挙げられた論点です。


肯定派

・環境対策の過程を市場メカニズムに込みこむことによって、削減コストが低減する

・排出枠取引はEUなどでも採用されている制度であるため、国際社会においてアピールが可能である ・それぞれの企業に排出枠を割り振ることによって公平な目標達成が可能である

・削減義務を課しつつも取引によって柔軟性を持たせることができるため、排出規制手段として最適である

・ 排出枠を設けることによって排出削減の効率が上がるため、費用対効果が高い


否定派

・一定の削減義務を課すこととなり、産業界への負担が大きくなる

・削減義務の達成結果算出などは各企業の自己申告となるため企業側における不正の発生が懸念される

・各企業に排出枠を割り当てる際、決定の基準が定めにくく、不平等となる。

・排出削減の効果が必ずしも向上するとは限らない ・EUの例にあるように、排出量取引ではなく環境税などの導入を行うことで十分に排出削減目標を達成することは可能である


今回のディベートの反省点として挙げられたのは、勝敗は相手を負かすことではなく、いかに審判を説得できるかだということを念頭に置くべきだという点です。つまり、第三者に分かりやすいように説明すべきです。  


 その他には、質疑応答を反駁にうまくつなげられていないなど、反駁に関する反省点が挙げられました。とくに肯定側第一反駁においては、否定側の第一反駁だけでなく立論に対しても反駁できていたかどうかで、第二反駁時に反駁可能な内容が決定してしまうため非常に重要です。また、反駁の際にどの意見への反駁かを明言した方が、ニューアーギュメントととらえられてしまうことを防げて良い、という指摘もありました。


総括


 最後に、今回はディベート後の時間を利用してスモールディスカッションを行いました。ディベートは手段であって目的ではなく、本当に目指しているのは議論し各自が自分の中に意見を持つことだからです。 これまでの講義やディベート準備を通して、日本の環境保全、今回は地球温暖化に対する向き合い方について、自分は最終的にどう考えるかを伝え合いました。  


 このスモールディスカッションにおいては、


・環境税と比較したとき、どんなに削減努力をしても排出量はゼロにはならないので支出もゼロにはならない。一方、排出権取引であれば支出をゼロにすることが可能なだけでなく、枠が余れば売る事(収入)もできるので企業のインセンティブが大きいので賛成。

・利益重視に陥る懸念のある排出量取引よりも、CO2を排出しない再生可能エネルギーを推進すべきだ。小手先の排出権取引制度に依存するのではなく、根本的に持続可能な社会を目指すことを提案する。


  などの意見が挙げられました。 ここでの議論を元としてそれぞれが論点についてもう一度整理し、環境問題について考えることができたのではないでしょうか。 以上です。