11月6日、埼玉県飯能市にある猟師工房にて、シカの解体を体験しました。今回は、第3回テーマ『開発と生物多様性』に関連し、森林の現状や、鳥獣被害の削減のために駆除される動物を資源として活用する方法などを学びました。
今回の体験イベントは、森林の現状についてのお話を伺うところから始まりました。現在、国産の木のほとんどが木材として伐採するのに適しているが、伐採されずにいること、これらを放置すると水の吸収率が落ちて土砂災害などが増えること、国の林業政策の変化に伴う森林の管理者の変遷などを教えていただきました。このことにより、いかに森林や山を管理することが今後の日本にとって必要であるのかを学びました。また、継続して林業に携わることのできる、行政側の人材が不足していることも知ることができました。
猟師工房では、駆除した動物を毛皮や食肉、スカル(頭蓋骨)等にすることで、全てを有効活用することが徹底されています。今回は、『命の授業』と題して、その一部を体験、見学させていただきました。初めは、シカが吊るされていることに驚きを隠せなかったメンバーでしたが、「人間の暮らしを守るために失われた命に、最大限の敬意を忘れてはならない。」というお話を聞き、親切なご指導のもと、丁寧に解体作業を進めていきました。プロの猟師の方であれば10分で終える作業に午前中を費やし、初めての体験に苦労しましたが、なんとかシカ肉を部位ごとに解体する工程まで自分たちの手で終えることができました。
シカの解体が終わった後、普段猟師工房の方々が狩猟をされている山を案内していただきました。施設から数分の場所にも多くのシカの足跡があり、日常生活で感じることは少ないであろう、動物の身近さを体感することができました。
自然保護といっても、人間が手を加えなければ良いというわけではなく、動物の命に敬意を払いながら管理をしていくことが、人の生活を維持していくために大切であると思いました。また、鳥獣被害に対して、ビジネスという観点から活動されている猟師工房に見学に伺い、今後はボランティアや自治体ではなくこのような形での対策がなされていくのではないかという可能性を感じることができました。
文責:小沢真緒