11月13日、2015年度第3回フィールドワークとして、毎月1度開催されている理化学研究所和光地区見学ツアーに参加しました。
今回のフィールドワークは、最先端の研究を重ねる理化学研究所を見学し、科学の発展の様子を肌で感じ、実際の現場を見ることで、第3回定例会で学習したテーマ「ヒトゲノムの解読と人間の理解」について学びを深めようという目的で行われました。
和光市駅から15分ほど歩くと、大きな建物と広大な敷地が目に入ります。西門守衛所にて受付を済ますと、展示事務棟のホールにて理化学研究所の概要説明から見学ツアーが始まりました。
理化学研究所は物理学、工学、化学、計算科学、生物学、医科学などに及ぶ広い分野で研究を進めている日本で唯一の自然科学の総合研究所です。
その歴史は古く、再来年で100周年を迎えます。1917年に財団法人として設立された理化学研究所は、戦後に株式会社科学研究所、特殊法人時代を経て、2003年10月に文部科学省所轄の独立行政法人理化学研究所として再発足し、2015年4月には国立研究開発法人理化学研究所になりました。国内外に数多くの拠点を持ち、今回見学した和光地区は東京ドーム5.8個分という広大な敷地で、日々研究活動が行われています。紆余曲折ありながらも続いてきたその歴史を知り、国の発展のための科学研究所の設立、存続に奮闘した方々の強い思いを感じました。
概要説明が終わると、創発物性科学研究センターに移動して走査型トンネル顕微鏡、透過型電子顕微鏡の見学を行いました。物質を構成する最小単位である電子を計測し、その性質を明らかにしようというものです。電子という非常に細かいものを観測するという性質から、建物の振動を伝えないように顕微鏡が建物と切り離されていたり、音や電磁波を遮断するようになっていたりなど、最新の科学技術が詰まった繊細な計測がされていました。
その後再び展示事務棟に戻り、戎崎計算宇宙物理研究室の研究紹介が行われました。宇宙の現象を観測よりも、理論やスーパーコンピューターを用いた計算によって研究しているそうです。研究の一例としてブラックホールのお話を聞くことができました。また、途中3Dグラスをかけて太陽系の姿などを見ることもでき、参加者は皆引き込まれていました。
今回理化学研究所を訪問したことで、それまであまり知らなかった最先端の研究の様子を知ることができました。ここで生まれる小さな発見が世界中に影響を与えるかもしれないと考えるととても感慨深かったです。また、定例会で扱ったヒトゲノムの解読のように、このような最先端の技術は恩恵をもたらすと同時に人間として悩み、判断に苦しむような状況を生み出すこともあります。そのような状況に対処するためには、日ごろから科学の進歩に関心を持つことが大切なのではないかと思いました。
文責 上江洲