12月20日、冬至を間近に控えた寒空の下、築地市場にて第5回フィールドワークを行いました。
今回のフィールドワークは、定例会で扱ったテーマ「食生活の変化と健康問題」に関連し、食に関する関心を深めることが目的です。そこで、食品卸売市場の役割と機能を体験的に学ぶべく、東京中央卸売市場の一つである築地市場を訪問しました。
日本最大規模市場の所在地ということもあり、土曜日の朝9時にも関わらず多くの人で賑わう築地。場外には様々な店が軒を連ね、店先に並ぶ食べ物、店員のテンポの良い謳い文句に思わず食欲をそそられました。
ところで、「築地」と聞いてはじめに思い浮かぶものは何ですか。おそらく魚をイメージする方が多いのではないでしょうか。それもその筈、築地市場は殊に水産物については世界最大規模を誇っています。しかし、意外なことに築地市場で扱っているのは水産物のみではありません。水産物と比較すると取引額は劣るものの、野菜や果物といった青果物も取引されています。
築地市場には、他の特徴もあります。都内に11ある東京都中央卸売市場のうち最も古い歴史を持っているのです。現在の形になったのは1935年(昭和10年)ですが、その歴史を遡ると江戸時代初期の徳川家康までたどりつきます。
今回はせりを見学することはできませんでしたが、卸売場を歩きその雰囲気を体感してきました。ターレットトラック(市場においてよく使用されている荷役用の車のこと)を使い素早く搬送する姿、大きなマグロを包丁で華麗に裁く姿、野菜や果物を懸命にダンボールへ詰め続ける姿をみて、私たちが普段当たり前のように近所のスーパー等で食べ物を購入できているのは、この方々の働きのおかげなのだと改めて実感しました。
食について学ぶのであれば、見るだけでなく食べることも欠かせません。市場見学が終わった後は参加者各々が場外で食事を楽しみました。私達は数ある店の中からある海鮮丼屋を選び、イクラ・マグロ・ウニの三色丼を注文しました。イクラの燃えるような赤、マグロの優しげなピンク、ウニのまろやかな黄色は白い酢飯によく映え、見た目だけでも食欲をそそります。一口食べると、一粒ずつ粒の揃ったイクラは口の中で軽快なリズムで弾け、よく脂ののったマグロはさっぱりとした酢飯との相性も抜群。ウニはその濃厚な味わいで食べるものを贅沢な気分に浸らせてくれます。食べ終わるのが勿体無いと感じてしまうほどの美味しさでした。
当たり前のことではありますが、食べ物が私たちのエネルギー源となり、生きることを支えています。このフィールドワークで食の流通の仕組みを体感し、そして食の楽しさを味わうことで、自らの食生活と健康問題について考えるきっかけとなりました。最近の日本においては、食生活の乱れによる肥満や女性の痩せすぎが問題視されています。これらを他人事ではなく自分にも起きうる問題として認識していくことが、健康の保持・増進につながっていくでしょう。
みなさんも食と健康を考えるきっかけとして築地市場へ行ってみてはいかがでしょうか。きっと新たな発見があるはずです。
文責:小松弓恵