2012年11月6日、自民党本部において、Front Runnerのメンバーが衆議院議員である小泉進次郎氏と意見交換を行いました。
当日は、講演を20分程度に短縮し、1時間強を私達学生の質疑応答、意見交換会に当ててくださいました。
表題について、大学生投票率100%と言うのは大きすぎる目標に感じるかもしれないが、これ位を目標にしなければ日本を変えることは出来ない。今後高齢化率の上昇がさけられない中で今の世代には時間がない。現状では70~75歳の投票率が75%なのに対して若年層20~24歳は30%と低い。ただでさえ若年層は絶対数が少ないのだから大学生の投票率100%くらい実現しなければ政治に若い世代の方を見させることは出来ない。社会保障の問題が取り上げられると「年金・医療・介護」といった問題が多いが、社会保障には若年層が関わりのある雇用・子育て等に関してはあまり目が向けられていない現状もそのことを表しているのではないだろうか。
A1. 震災・原発事故に関して(何十年か後に福島の除染が済んだあとに、福島は日本において世界においてどのような役割・立場を示すべきだと思うか)
A1. 私は「TEAM-11」の活動で毎月11日に被災三県を訪れている。他の議員から「まだ行っているのか」という声が聞こえてくることもあり、悲しみや憤りを感じることもある。東京にいるだけでは見えてこない被災地の現状があると考えている。福島原発について更に言えば、「廃炉」というのは炉の中にある燃料棒を取り出し、汚染された残骸を撤去し、原発がある場所を更地にすることまでのことを意味する。その技術はこれから開発していかなければならない為、その行程にはおそらく40年以上掛かると考えられる。その40年後を見届けられる可能性のある若手議員が被災地に寄り添い続けなければならない。そうしなければ、被災地について共に考えることは出来ないし、信用してもらうことも出来ない。何十年後かに廃炉が実現した際に被災地の方と「やっとだね。ずっと来てくれていたのはあなただけだよ」と一緒に喜びを分かち合うのが目標。
Q2. 政治を志して(自分は就職活動が終わったのですが、小泉議員はどのような経緯でいつから政治をやろうといつ思ったのですか)
A2. 高校まで野球一筋で全力投球だった。高校生まで本当にプロ野球選手になりたかったが、自分の能力ではなることができなかった。当時の夢は叶えられなかったが、それまで全力で野球に情熱を注いで来たからこそ、その後政治に全力で取り組めている。野球をやっている時は政治をやるとはあまり考えてはいなかったが今は政治をやっている。「自分にはこれは向いていない。自分にはこれしかない」と自分の可能性を自分で決めつけてはいけない。自分では自分の可能性はわからない。やってみてから気がつくこともたくさんある。与えられたチャンスは全て利用することが大切だ。政治家になると犠牲にすることも多いが、悩み事も課題も全て日本を良くしていくことにつながるので本当にやりがいを感じている。
Q3. 小泉議員の描く国家ビジョン(震災を通して経済成長を前提としない社会のあり方を模索する動きがあるように感じます。そしてその社会を築くことができるのは高度成長を知らない若年層だと思っています。小泉議員はどのような国家ビジョンをもっているのか教えてください)
A3. 震災を機に経済成長を目指さない世の中のあり方を模索する動きも有るかもしれない。確かに今までのような急激な高度経済成長は望めないのかもしれないが、成長は目指さなければ行けない。チャーチルは「成長は全ての不都合を覆い隠す」と言った。現在の日本は成長が止まった中で沢山の課題が浮き彫りになっている。これまでの時代は成長の利益をどのように配分するかを政治が調整してきたが、これからは社会保障費に代表されるように「負担」の配分を政治は調節していかなければならない。しかし、これからの日本のことを余り悲観していない。むしろ多いに期待している。なぜならば高度成長の時代を知らない今の若い世代は成長に対する過度な期待感が少なく、金銭的な利益を求めるだけではなく利益を社会貢献に繋げることを重要視している傾向があるからだ。「社会起業」という言葉が流行ったこともこの影響があるのではないか。山積した課題を解決をしていくことを楽しめる、そのことにやりがいをもてる様な社会を私達の世代はつくっていけると思っている。
Q4. 日本の良さ(小泉議員は日本の良さはどのような所だと思われますか)
A4. 日本はいい所を沢山持っているのにもかかわらず、発揮できていないということを留学して外から日本を見て感じた。経済が停滞している中国に抜かされたと言っても日本は世界三位の経済大国、こんなに物質的に豊かな国は他に無く、東京周辺の都市の広がりはNYなどを凌ぎ世界に類を見ない。日本の大きな資源のひとつは国民の質。そのことは震災で世界中に発信され世界を驚かせた。アメリカのハリケーンカトリーナで被害を受けた地域に海兵隊が支援に派遣されたときの心配事は「地元住民の暴動」であったというが、震災の時に日本では暴動も起きること無く米軍の支援を感謝と敬意で迎え入れた。その証として日本のパスポートほど世界で通用するパスポートはなく、その信頼は戦後の日本が築いてきた財産である。
Q5. 演説-政治の世界のプレゼン-(将来キャスターを目指しています。小泉議員は演説が上手だと評判ですが、演説に関してどのようなことに気をつけていますか)
A5. まず大切なのは「えー」「あー」といったことを言わないように注意すること。自信が無いように見えてしまう。私は演説の上達のために自分の声を録音して聞き直した。かなり恥ずかしいが、自分の話し方の癖がよくわかり、とても有効なのでおすすめ。話し方のよいテキストとなるのが落語、枕から落ちまでの流れ等はとても参考になる。映画や小説に沢山触れることも大切。なぜなら小説家脚本家は言葉のプロフェッショナルだからだ。何よりも演説において重要なことはそこを通り過ぎようとするひと、興味を持っていないひとの心をつかむことである。始めの数十秒・一分で「聞いてみよう」と思わせることが重要になる。
Q6. 愛国心と国際協力(小泉議員は日本を愛していることがよくわかりましたが、国際協調についてはどのように考えていらっしゃいますか)
A6. 病気の医者に患者が患者を看ることは難しいのとおなじで、日本を良くしなければ国際貢献等できない。ただ、震災の支援でも明らかになったように日本は世界の中で生きている。日本単独で生きている訳ではないので国際貢献はしなければならないし、日本として国際社会に貢献できることは沢山あるはず。
小泉議員のお話によって生の政治の一端に触れることができ、政治を身近に感じることが出来ました。また、今回の勉強会で若年層に対するメッセージを受け止めて自分自身努力をしていかなければと強く感じさせられました。 翌日に質疑を控え大変お忙しいなかで時間を延長し、私達学生の質問に真摯に答えてくださった小泉議員、本当にありがとうございました。
文責:田中草太